<国際親善試合:日本6-0ホンジュラス>◇14日◇豊田ス

 日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)がアジア杯(オーストラリア、来年1月9日開幕)に向け、雑音を封じ込める意味で重要な1勝を挙げた。「今日は全ての要素が入っていた。良い攻撃、良い守備ができた。次の試合も同じ方向性で行きたい」と言い切った。

 アジア杯へのメンバー最終選考と、チームの熟成を狙った今合宿。メキシコで行われたサッカー殿堂式典に出席するため、チームを一時離脱した。13日の公式練習前に合流したが、「チームを空けるのは一生でこの1回だけ」というほど異例中の異例の事態だった。

 指揮官不在の3日間で、実は微妙なひずみが表出した。練習内容やグループ分けの意味を質問に行った選手に、外国人スタッフが「監督がいないから分からない」と明確な答えをもたらせず、練習時の給水間隔が通常より空くなど、選手に戸惑いを与えた。わずかな不安が不満となり、チームづくりの障壁となりうる。ただでさえ、アジア杯前の重要な時期。公式練習中のCKの際の位置取りを誤ったDF酒井に対し、意識的に「集中しろ!」と怒鳴ることで、チームに集中状態をもたらした。

 アジア杯へ勢いづけをするためにも、勝利への強い意欲も示した。この日の試合前には「今回の合宿で私が見られた練習が1回だけとか、ブラジル戦で痛い敗戦を喫した後とかは言い訳できない。ホームでは勝つ義務がある。今日は全てのボールに対して戦え」。そして続けた。「今日は6-0で勝つぞ!」。その言葉が現実になった。

 大勝したものの、決して楽観視はできない。不在時のチーム内にひずみが生じたことも事実。「代表監督はどの状況でもプレッシャーはある。勝ちたい気持ちがあるから自然にプレッシャーが生じる」。「一寸先は闇」の代表監督という仕事を当然、理解している。

 過去の4試合は若手を数多く試し、今月の2試合でDF内田、MF遠藤らベテランも招集。「アジア杯へ向け日本のベスト23人を探している。ベースはできてきた」。真価が問われるアジア杯へ、18日のオーストラリア戦でもさらなる進化を求める。【菅家大輔】