都倉劇弾で5年ぶり8月白星発進! J2札幌は清水に3-2で勝利し4連勝となった。2-0から追い付かれるも、後半ロスタイム4分、FW都倉賢(30)が決勝ゴールを決め、土壇場で勝ち点3をもぎ取った。前回昇格した11年以来の8月初戦勝利。10戦負けなしは今季最長で、09年以来7年ぶりとなった。26戦18勝5分け3敗、勝ち点を59に伸ばし、残り16戦で、2位松本との勝ち点差を7に広げた。

 一瞬でけりをつけた。後半ロスタイム4分11秒、DF福森がゴール前にFKを蹴り込むと、自陣からのロングボールは清水DF角田、ビョンの間に落ちてゴール前に転がった。2バウンド後、FW都倉が猛然と左サイドから走り込むと、あわてて前に出てきたGK杉山より、わずかに早く左足を伸ばし、押し込んだ。

 93分の乱打戦は、福森のキックから、たった3秒で決まった。「ドームは湿度が低く芝がからからに乾く。2バウンド目が止まる。GKが中途半端に出てきたこともあって決められた。僕らは練習できるが、これはやってみないと感覚が分からないもの」。ホームピッチ特有のボールの転がり方を頭に入れたクレバーな“サヨナラ弾”だった。

 残り16戦で早くも昨季の13点に並び、川崎F時代の同僚鄭大世への雪辱も果たした。対戦は神戸時代の10年4月24日以来6年ぶり。前回は自身が無得点、鄭は1ゴールで0-3と敗れた。今回は互いに1得点も、試合には勝った。だが、おごることなく「大世さんと対戦できたのはチームとして良い教訓。J1クラスのFWは、ちょっとフリーにしたら決められるということ」と気を締めた。

 自分の性格について「スポ根が嫌い」と言う。この日、決勝弾後に3分のプレー時間があった。劇的な1発に浮かれることなく前線からボールを追い1度、左太もも押さえて倒れ込んだ。90分以上走り抜いた後だけに当然、疲労もある。そこは根性よりしたたかさだ。ルールの範囲内で、最後の1秒まで、勝つために何をすべきかを考えていた。

 突き放す力強さも発揮しての4連勝。都倉13、内村9、ジュリーニョ8、ヘイス5点と、前線4人でチーム44点中、約8割の35点をたたき出す。「今は誰が出ても結果が出るようになっている」。前半戦は堅守で首位、後半戦は攻撃陣の爆発力もまじえ、逃げ切り昇格を目指す。【永野高輔】