勝利だけに集中する-。J2山形GK山岸範宏(38)が、今日3日のアウェー横浜FC戦の必勝を誓った。1日に同じGKの中村隼(はやと)容疑者(24)が、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)などの疑いで逮捕された。激震から一夜明けた2日、チームは通常通り練習。主将も務める守護神は「動揺がゼロと言えばウソになる」と本音を明かしながら「90分で勝利をつかむのが最大限の責任」と言い切った。

 山形ではもちろん、浦和在籍時の7、8年前に、ユースに所属していた中村容疑者と練習をしたこともある。「プライベートで食事もした。トレーニング、体の管理とかは非常にストイック」と振り返る。それだけに逮捕の現実を悲しんだ。「ショックを受けたのは事実。自分としても衝撃。思うところがある」。

 ただプロ、山形の主将として、気持ちを切り替えることが先決だと分かっている。「いろいろ悩んでいても先に進めないので。チームの勝利のために、全力でプレーするだけです」。この日のミニゲームでは、山岸らしく大きな声で指示を出し、明るく振る舞った。

 練習前のミーティングでは、森谷俊雄社長(62)が選手全員に中村容疑者の逮捕の経緯などを説明して信頼回復を求めた。石崎信弘監督(58)は「試合に集中する」と伝えた。残り4試合、22チーム中18位と残留争いは大詰めを迎える。周囲の雑音を封じるためには、勝つしかない。【久野朗】