湘南ベルマーレFW宮市剛(21)がフル出場し、2ゴールを決めて、曹貴裁監督(48)に猛アピールした。

 1トップとして先発した宮市は前半26分、ゴール前で落ち着いて右足を振り抜き、決めた。後半には1列下がり、シャドーの位置に入ると、同1分に左サイドからのパスを受け、ターンしてゴールにたたき込んだ。前半は1トップとして前線で体を張り、後半はFWから1列下がったシャドーとして、時に中盤に降りてボールを受け、サイドにボールをはたき、すかさず前に出て攻撃態勢と、組み立てからフィニッシュまでを意識した動きをし続けた。

 前からどんどんプレスをかけてボールを取りに行く湘南スタイルを徹底しつつ、前線で体を張って得点に絡むことが、この日のテーマだった。それでも、試合後は「まだまだ…あと2点くらい決められたので、結果は出しましたけど、満足はしません」と気を引き締めた。

 14年に入団後、15年にJ2水戸ホーリーホック、16年にJ3ガイナーレ鳥取への武者修行をへて今季、湘南に帰ってきた。「(2月26日の水戸との)開幕戦のメンバーに入ることが出来なかった。まだまだだと思うし、もっともっと調子を上げて、メンバーに絡めるようにやっていかないといけない、頑張らなきゃいけないと感じています」と危機感を口にした。

 ドイツ2部ザンクト・パウリに所属する兄のFW宮市亮(24)も、故障が多く、定位置争いで後れを取っている状況だ。そのことに話が及ぶと「(兄とは)時差もあるので、そんなに連絡は取らないです。でも、彼は結果はどうあれ、ちゃんとした強い意志を持っているので、しっかりやれると思う」と口にした。

 しっかりやるという思いで言えば、宮市が今季、湘南でのプレーにかける思いも、兄に負けずとも劣らない。「チームはJ2優勝、J1昇格を目指してやっていると思うし、サポーターの皆さんも、それを意識して今年も応援してくれると思う。その結果に応えられるように自分も頑張る。(今日の2ゴールの勢いが)続けばいいですけど、また練習から頑張ります」。1つ1つの練習から、宮市は戦い続ける。【村上幸将】