<ナビスコ杯:大宮3-1名古屋>◇22日◇1次リーグ◇A組◇瑞穂陸

 名古屋の至宝、MF花井聖(しょう、20)が今季初先発した。今季からコンバートされ取り組んでいるセンターバックで出場。前半だけで3失点し、後半からは攻撃力を生かせるトップ下に位置を上げてプレー。同6分には左足でクロスバーをたたく惜しいシュートを放った。

 名古屋の下部組織が生んだ最高傑作として、潜在能力を高く評価されている逸材。ユースだった高3時からトップチームで活動している。ただ、今季でプロ入り3年目を迎えるが真価を発揮できずもがいている。この日のプレーぶりにドラガン・ストイコビッチ監督(45)は「惜しいシュートもあった」と一定の評価を与えたが、悩める天才の起用法については「私も(使い方を)探しているんだ」と歯切れは悪かった。

 大敗という代償は払ったが、いつも飄々(ひょうひょう)としている花井が、試合後は涙をこぼさんばかりに険しい表情で自らの不出来を猛省していた。この点は、今後に向け明るい材料かもしれない。

 花井は「ボクはボールに触ってナンボの選手。もっと絡まないと。練習試合でやれても、ここ(公式戦)でやれないと」。この日の90分が、だれもが認める才能を爆発させるターニングポイントとなれば、1試合の大敗など痛くはないのだが…。