<J1:柏2-0札幌>◇第29節◇19日◇札幌厚別

 夢は1年で幕を閉じた。コンサドーレ札幌の来季J2降格が決まった。ホームで柏に0―2で完敗。5試合を残しての降格決定は、07年横浜FCと並ぶJ史上ワーストタイ、10月19日という日付上はワースト更新となった。クラブとしても、13試合連続の未勝利はワーストで、聖地と呼ばれた札幌厚別でクラブ史上初めて未勝利でシーズンを終えるなど不名誉な記録が並んだ。FWダビ(24)MFクライトン(30)ら外国人だけでなく、ユース出身のMF藤田征也(20)にも複数のJクラブが興味を示しており、主力流出の可能性もある。

 屈辱と怒りがスタジアムを包み込んだ。試合終了後、サポーターに顔を向けられず猫背で歩く選手が目立った。「お前らにプライドはあるのか」-。サポーターからは怒声が飛び、興奮した数人がピッチに下りて、一触即発となる場面もあった。三浦監督は「降格という事実が出て残念です。申し訳ないと思っている。責任を感じる」とわびるしかなかった。

 試合も無惨だった。前半37分、右CKがDF大谷に渡り、最後はフリーのFW菅沼に押し込まれた。試合終了間際の後半43分には、決定的な2点目を奪われた。今季課題としてきたセットプレーの守りとラスト15分の失点を象徴する内容。DF西嶋は「1年を通してこういう結果。現実を受け止めないといけない」と声を振り絞った。昨季J2でリーグ最少失点を誇ったDF陣は今季J1でリーグ最多失点。今季初の6連敗で、プライドは完全に打ち砕かれた。

 J2となる来季、多数の主力が流出する可能性が出てきた。得点ランク2位の12得点を稼いだエースFWダビ、2得点8アシストの攻撃の柱MFクライトンは複数のクラブが興味を示し、移籍が濃厚。クライトンは「シーズンが終わってから、じっくり考えたい」とだけ話したが、残留の可能性は低い。昨年のU-20W杯日本代表で成長株のMF藤田にも、複数のクラブが興味を示していることが分かった。来季に向けたチームづくりは、土台から揺らいでいる。

 クラブ側は流出阻止に向けて、何よりも先に来季のビジョンを明確にする必要がある。三上強化部長は「1人1人の選手と話し合ってから。ビジョンとかを決めないと、そういう(移籍を志願する)選手が出てきても不思議ではない」と話した。07年の横浜FCと並ぶ、Jワーストの5試合を残しての降格決定。6年ぶりの夢舞台は1年で終わった。来季1年でのJ1復帰へ、いばらの道が待っている。【長島一浩】