横浜DF中沢佑二(30)が来季の所属先の最終決定を来年1月10日まで延期する。25日、横浜市内のクラブハウスで行われた2度目の契約更改交渉の席でクラブに伝え、了承された。大宮に続いて神戸からも、横浜が提示した年俸1億2000万円の3年契約を上回る条件のオファーが届いたことが判明。当初は年内にも残留か、移籍かを決める予定だった日本代表DFの心は大きく揺れている。(金額は推定)

 オフを削ってでも、熟慮を重ねることにした。横浜との交渉を終えた中沢は「少し考える時間をもらいたいと伝えました」と切り出した。当初は「年内には結論を出したい」としていたが、ここに来て方針変更。「来年1月初旬までは考えたい。10日には結論を横浜に伝えます」と話した。

 大宮に続いて神戸からも熱烈ラブコールを受けた。両クラブの社長と直接会って「思った以上の熱意」を感じたと打ち明けた。クラブの看板として、若手の手本として、そして優勝への切り札として-。「各クラブとも違った意味合いで、僕のことを必要としてくれている。今回はよく考えないといけない」。さまざまな期待を面と向かって伝えられ、心は大きく動いた。

 破格の好条件も苦悩する要素だ。横浜は今季の9000万円から3000万円増の1億2000万円の3年契約を提示しているが、大宮に続いて参戦した神戸もこれを上回る数字を示したという。中沢は「金額は問題ではない」と話しているものの、獲得への熱意という意味では感じるものがあるはずだ。

 中沢は「より高いレベルでやりたい」という意向だ。横浜は天皇杯で優勝すれば来季ACL出場というアドバンテージを持つ。神戸はACL出場を目標に大型補強で応える構え。大宮は親会社であるNTT関連の広告塔としても期待する向きもあり、来季監督の張外龍氏は、中沢のV川崎時代の恩師という縁もある。

 目の前の天皇杯に集中したい意味もあり、決断を来年に持ち越した中沢は「頑張ればこうやって評価されると、目標にされるようになりたかった」とうなずいた。【塩畑大輔】