J2仙台FW平瀬智行(32)が、3日のホーム岡山戦(宮城ス)でJリーグ通算50ゴールを狙う。前節の水戸戦で1得点し、J1で32得点、J2で17得点の計49得点にプロ14年目で到達。鹿島時代にジーコ元日本代表監督から「個人の記録よりチームの勝利を優先しろ」と教えられ、得点にこだわらず周囲を生かすスタイルに転換。その上で積み上げた、節目のゴール記録を刻む。

 過去84人が到達した節目の記録に王手をかけても、平瀬は「記録も知らなかったし、気にしてないよ」とあっさり。その上で「チームが勝つためにどうすればいいかは考えるけど、個人の得点には、こだわってないんだよね」と笑った。

 鹿島時代の教訓がある。96年に鹿島入り。出場機会が増え始めた入団4年目の99年、あるミスを犯した。FW長谷川と2トップを組んだ試合で、平瀬は角度のないところから強引にシュートして外した。相棒の長谷川はゴール前でフリーの決定機。それを2度も繰り返し「ジーコにめちゃくちゃ怒られた」と振り返る。「なぜ確実なプレーを選択しないんだ。お前が打たなければ周りが決められた。個人の記録なんか、いらない。それよりチームの勝利を優先しろ!」と。

 この金言を胸に、今もピッチに立つ。プロ14年目で50得点は決して多くないが「仙台での自分の役割はサイドで起点になったり、中央で梁や関口に回して攻撃を活性化させること」とポリシーは曲げない。一方で「ゴール前で確実に前を向けた時は、もちろん狙うけどね」と付け加えた。自然体の先に、ささやかな勲章が待っている。【木下淳】