<ナビスコ杯:浦和1-0磐田>◇3日◇予選リーグA組◇駒場

 苦しい状況を、苦しんでいた男が救った。4日に30歳の誕生日を迎える浦和FW高原直泰が、古巣磐田相手に今季公式戦初ゴールを奪い、1-0の勝利の立役者となった。公式戦のゴールは昨年10月1日のリーグ戦京都戦以来。浦和は勝ち点を10に伸ばし、A組首位を守った。

 喜ぶというより、ホッとした表情だった。前半25分、高原はペナルティーエリア内で、FWエジミウソンから浮き球のパスを受けた。相手DFが足でブロックしにきたが、その下を抜くような左足シュートがゴール右隅をとらえた。今季17試合目の出場での初得点が、故障者続出で苦しむチームを勝利に導いた。4日は30歳の誕生日。「20代最後の試合でゴールを決められて良かった」。しみじみと言葉を絞り出した。

 開幕前は「昨年は悪過ぎたが、良い準備ができている」と話していた。リーグ開幕戦は先発。だが、シュート数ゼロの試合もあった。4月4日大分戦からベンチスタートが続き、出場できずじまいのことも。「期待に応えられなくて、モヤモヤしていたものがあった」と苦悩の日々を振り返る。チーム最年長のDF山田暢は「本人が一番うれしいと思う。決めるべき選手が決めると、チームが引き締まる」とたたえた。

 故障者が出た影響で5月24日の大宮戦で先発復帰を果たし、同30日のナビスコ杯新潟戦ではゴール前に迫る場面が増えた。「ゴール前に顔を出せている自分がいた。ポジショニングも良くなってた。ここ数試合は(先発で)試合に出られるようになったんで」と手応えをつかんでいた。

 この日の相手は古巣の磐田。「古巣だろうがなんだろうが、浦和の選手として戦っている」。とにかく点が欲しかった。もちろん、まだ満足はしていない。「これからどういうプレーをするか」。日本代表エースとも呼ばれた男は、結果を残し続けていくしかない。【今井恵太】