左大腿(だいたい)二頭筋の肉離れで別調整していた、J1山形FW古橋達弥(28)が10日、全体練習に合流した。早ければ予選突破の望みがある13日のナビスコ杯神戸戦で、戦列復帰の可能性がある。患部の不安が消えた古橋は「状態としては出られる」と、明るい表情を見せた。小林監督は、神戸戦までの調整期間で古橋の状態を見極め、スーパーサブとして準備させるプランも示唆した。

 抱えていた「爆弾」が破裂した、5月16日の広島戦から26日目。古橋が笑顔で戻ってきた。故障前と変わらぬ軽快な動きを、ミニゲームで披露した。自然とボールが集まり、連係面のブランクを感じさせない。久しぶりに2時間、みっちり汗をかいた古橋は「(患部の)不安はないです」と言い切った。

 診断は全治約3週間。計算上は7日の柏戦に間に合ったかもしれない。だが指揮官は古橋を焦らせず、肉体改造に専念させた。「無理して使うより、不安を取り除く方が大事」という親心からだ。その気持ちに応え、古橋は「ほとんど室内で筋トレをして、弱いところを鍛えた」と自信を見せた。

 この日、同じく故障から復帰し全体合流した、FW北村が口にした「みんなに迷惑をかけた分、これから返していきたい」という気持ちは、古橋も同じだ。欠場した公式戦5試合を見ながら古橋は、自分が出た場合の展開を「ある程度、考えていました」と話す。ナビスコ杯予選突破の灯が消えかかっている状況に、歯ぎしりした。

 「状態としては(試合に)出られる。あとはボールの感触を取り戻さないといけない」と自己分析した古橋。動きをチェックした小林監督は、リバウンドなどを見極めた上で「土曜日か日曜日(神戸戦かサテライト浦和戦)に短い時間で使いたい」とスーパーサブでの実戦復帰を示唆した。11日の練習は、古橋ら復帰組に体力強化のため、2部トレを課す。勝たなければ先のない一戦に、古橋は備える。【山崎安昭】