<J1:山形1-0広島>◇第5節◇3日◇NDスタ

 期待のストライカーのゴールで、山形に春が訪れた。山形は、広島に1-0で完封勝利し、ようやく今季初勝利を挙げた。後半29分、FW田代有三(27)のリーグ戦2試合連続ゴールで先制。これを守りきった。17位と低迷していたチームは、勝ち点3を奪い暫定12位に浮上。3月は白星なく終わったが、ホームで4月好スタートを切った。

 ゴールハンターの嗅覚(きゅうかく)だ。後半29分、DF宮本の右クロスにタイミングを合わせ、位置取りを開始した田代。だが「なんか目の前のフル(FW古橋)さんが、触る気がした」と、ボール方向へは向かわず、ゴール正面で待ちかまえた。田代の予感どおり、古橋が頭でコースを変えたボールを迷わず右足で振り抜く。相手GKに触られたが「入れ!」(田代)と念じたボールは、ゴールマウスに吸い込まれた。

 3月27日の鹿島戦で、移籍初ゴールをマークした田代。だが、3点ビハインドの試合終盤の状況で喜べなかった。その分、この日は初勝利を信じホームに駆けつけたサポーターと、歓喜したかった。看板を飛び越しスタンド前でシャウトした背番号10は「チームメートにも認められたかったし、ボクのゴールで勝てて良かった」と、安堵(あんど)の表情だ。

 先月1勝もできなかったが、内容に手応えを感じていた小林監督は、今月の巻き返しを誓っていた。「勝てて良かった。内容はいいのに、結果が出なくて…。今日は最後まで集中力を切らさず、いいゲームをしてくれた」と、イレブンをたたえる。調整期間に自前のノートパソコンが故障し、戦術説明に必要な資料を用意できない危機もあったが、電器店に無理を言って頼み込み即日修理させた執念も、実った。

 昨年10月24日柏戦以来161日ぶり、公式戦11戦ぶりの勝利。終了の笛の後、テレビ中継用のマイクに足を引っかけて転びかけるほど、指揮官も興奮した。いまだ冷え込む山形で、春の訪れを信じていたサポーターに、田代は約束する。「今日みたいな(集中力の切れない)試合をして、ゴールを続けていきたい」。膨らんできた桜のつぼみより一足先に、山形が開花した。【山崎安昭】