【グアム27日=永野高輔】ゴンが断食していた。コンサドーレ札幌のFW中山雅史(43)が胃腸炎を患い、キャンプ初日から2日間絶食、絶飲で練習していたことが分かった。前日26日に回復し、この日から通常の食事に戻ったが、最初の2日間は常夏の島で水も飲まない荒療治に努めていた。右ふくらはぎ張りのため別メニュー調整中だが、完全復帰へ気合で“第1関門”を突破した。

 中山が強靱(きょうじん)な精神力で、胃腸炎を撃退した。「実は食べ物と飲み物を制限されてましてね。今は絶好調ですけど」。グアム入りした24日から胃腸炎を患ったが、早期治癒のため、気温26~27度の熱帯地で丸2日間、飲まず食わずで練習に取り組んでいたことが判明した。

 26日から軽い食事を始め、この日から普通の食生活に戻った。「やっぱり水が飲めないのは、つらかったよね」。右ふくらはぎに張りがあるため、別メニュー調整中だったが、断食の2日間は汗だくになりながら、必死でランニングをこなしていた。水が入ったボトルを口に持っていく姿も見られたが、すべてうがいだった。

 これは、数日間の絶食で胃腸を空にし、その働きを最小限に抑えることで自然治癒力を引き出すもの。薬で症状を緩和する治療法もある。断食療法について、佐川トレーナーは「本来は勧めない方法なのですが」と心配したが、中山本人が磐田時代から続けてきた治療法ということで容認した。

 「薬だと長引いちゃうから」。2日間はメニュー強度も落とされ、早期復帰にかける思いが究極の荒療治を選ばせた。しかも、絶食中だった24、25日は同部屋のDF櫛引、練習生西村を誘って毎食、食事会場に顔を出した。

 胃の炎症を抑えるため1時間に1回、規則的に水を飲むが、目の前の食べ物に手を伸ばすことはなかった。明るく後輩に話し掛け、コミュニケーションも図った。西村は「すごいですよね」とストイックな調整法に驚いていた。

 体調も回復し、いつものゴン節が復活した。午前練習前、たった1人でのランニングだったが、チームメートには「何人たりともオレの前を走るなよ」とジョークを飛ばしてスタートした。ひと言でムードを変えるカリスマに、ようやく笑顔が戻ってきた。