日本協会がJリーグに「秋春制」への移行プランを提示したことが9日、明らかになった。8日のJ1・J2実行委員会に日本協会の田嶋幸三専務理事(54)が出席。日本協会とJリーグの両幹部が「大会スケジュール改革プロジェクト」で話し合ってきた、「2013年シーズンを1年半開催し、W杯ブラジル大会前の2014年春に終了。同年秋から秋春制に移行」というプランを各クラブのトップに提示した。Jリーグ側が今夏までにプランの実施の可否を決定する意向だ。

 Jリーグが欧州基準の秋春制移行へのかじを切る可能性が浮上した。日本協会の田嶋専務理事が8日のJ1・J2実行委員会で秋春制移行のプランを提示。小倉会長はこの日「以前からJリーグの方も(会議に)入ってもらって検討していたこと。日本協会側から案を提示した。今後はJリーグ側が話し合ってもらえると思う」と説明した。

 日本協会が「大会スケジュール改革プロジェクト」でまとめた移行案は、来季のJリーグ2013年シーズンを通常通り3月に開幕させ、通常より半年長い1年半の期間で2014年春に閉幕。閉幕後、W杯ブラジル大会を挟み、新シーズンを2014年秋から始め、1年の期間の秋春制に完全移行するというもの。国際サッカー連盟(FIFA)が基準とする欧州にリーグ日程を合わせることで、代表日程や選手の海外移籍を潤滑に調整できる。

 当然、札幌、山形、新潟などの積雪地帯を考慮に入れ、1~2月はウインターブレーク(冬休み)を入れるなど柔軟な対応を図る。また、毎年元日に行われる天皇杯決勝を前倒しする案も含まれている。それらをベースとなる移行案に組み合わせ、現実化する意向となっている。

 日本代表は、2013年6月にW杯アジア最終予選2試合とコンフェデ杯、同7月には東アジア選手権が開催される。2カ月間もJクラブは代表に選手を貸し出すことになり、リーグ戦開催が滞る可能性がある。通常の3月開幕、12月閉幕では試合数が収まりきれない状況になるなら、2013年シーズンを3月開幕の1年半開催とすれば、確実に試合を消化し、2014年秋からの秋春制導入につなげられる。

 ただ、あるJ1クラブ社長は「急に言われてもという感じがある。また実行委員会で話し合う必要がある」と明言。Jリーグの中野専務理事は「協会側とも話し合ってきたこと。来季(2013年シーズン)の日程から絡むことになるので、今夏には(プランが)導入できるのかどうかをリーグで決めたいと思う」と話した。実現すれば日本サッカー界の抜本的な改革になりそうだ。

 ◆Jリーグの秋春制導入

 10年以上も議論されてきた秋春制導入の問題について、08年から10年にかけて推進派の日本協会犬飼会長(当時)と現行制度維持派のJリーグ鬼武チェアマン(当時)が激しく衝突。犬飼氏が「サッカーは冬のスポーツ。暑い夏にやるものではない」と言えば、鬼武氏が「冬に豪雪地帯のクラブは試合はできない」などと応酬。結局は犬飼氏の熱意も実らず、リーグ側との調整がうまくいかないまま棚上げ状態となっていた。ただ、今回は日本協会とJリーグのそれぞれの幹部が入り11年1月にスタートした「大会スケジュール改革プロジェクト」でお互いが意見を出し合い、今回のプランの提示に至った。幹部同士のすり合わせがある程度できており以前との状況は異なる。Jリーグの中野専務理事も「暑いとか寒いとかではなく、今回は欧州の日程に合わせることなどが理由」と話している。