<チャレンジリーグ:仙台5ー0世田谷>◇第21節◇28日◇群馬・川場サッカー場

 なでしこジャパンのDF鮫島彩(25)を擁する仙台レディースが、スフィーダ世田谷を5-0で撃破し、1試合を残して19勝2分け無敗で優勝し、来季のなでしこリーグ昇格を決めた。昨年休部した東京電力マリーゼが母体の仙台は今季から参戦。鮫島は今夏、東京電力時代の同僚と再びプレーするためにフランスのモンペリエから移籍。代表イズムを注入してチームのレベルアップにつなげ、昇格の原動力となった。

 この瞬間のために戻ってきた。他会場で2位チームが敗れ、ハーフタイムにはタイトルを手中に収めていたが、大量5得点の快勝劇でスッキリと“自力優勝”。輪の中心で歓喜のダンスを踊るなど、いつになくハイテンションの鮫島は「一緒に一喜一憂したい、苦しいことも共有したい、そんな楽しい仲間なんだと心から実感できた」と、東京電力時代からのチームメートとの絆を再確認していた。

 8月の加入後、5試合3得点。チーム唯一のプロ契約にして、2部で1人しかいない代表選手。千葉監督が「トップレベルのプレー、特にスピードの点で違いを見せてくれた」と感謝するように、肩書に見合う影響力を発揮してきた。この日は観戦したJ1仙台MF関口から「ダメ出しをいっぱいいただいた」と笑ったが、前半18分に華麗なヒールパスで2点目をアシストするなど随所で魅せた。

 「周りからいろいろ声はあったけど、自分の意志を持って移籍してきた。充実してます」。2部への移籍、代表とは違う攻撃的な中盤でのプレー、自ら選んだ道に一切の迷いはない。「途中から入って言っちゃいけないけど(優勝は)最低条件。通過点の1つだと思ってます」。信頼できる仲間となら、もっと上に行けると信じている。【亀山泰宏】

 ◆ベガルタ仙台レディース

 東日本大震災の影響で休部となった東京電力マリーゼの所属選手の移管先として発足。東京電力でプレーしていた選手、昨年12月のセレクションで獲得した選手、シーズン途中に加入した鮫島を含む22選手が所属。監督は仙台ユースを率いていた千葉泰伸氏(41)。プロ契約は鮫島のみで、他の選手はスポンサー企業を中心に働いている。

 ◆なでしこリーグ昇格条件

 チャレンジリーグ4位以内に入り、なでしこリーグ準加盟資格が必要。12クラブが2回総当たりで各22試合を行い、1位はなでしこリーグ10位と入れ替えで自動昇格。2位はなでしこリーグ9位と入れ替え戦(ホームアンドアウェー方式)を行い、勝てば昇格。