高速ドリブラーが悪い流れを切り裂く。山形は11日、山形・天童市内で攻撃練習を行い、MF伊東俊(23)がFW長谷川悠(23)、FW北村知隆(28)と3トップを形成した。左サイドでのドリブルからクロスを上げ、好機を演出。14日に対戦する大宮の弱点を突く動きを確認した。前線2人が主力、控え中心で行った午後練習に選ばれなかったことから「もしかしたら…」と今季初先発に期待を寄せた。

 「もろ刃の剣」。伊東を表すにはピッタリの言葉だ。持ち味は細かいボールタッチとステップが特徴的なドリブル。一瞬で相手を置き去りにする。会場の注目を独占する鮮やかさから、世界最高の選手に例えられ「山形のメッシ」とも呼ばれる。最近ではパス精度も上がった。3日の柏戦では、シュート回転のかかったロングパスで、敵そして味方の虚を突いた。DF前田の足元へピタリと渡り、DF石井の得点につながった。

 一方で守備力は…。あっさりと抜かれたり、簡単なパスミスもある。守りでは、ポジションを争うMF宮沢に及ばない。伊東も「そこはボチボチ」と多くを語らず。現状は攻撃力だけで先発獲得に挑む。それでもピッチに立った時の期待感は、0-4で敗れた磐田戦を忘れるための、絶妙なスパイスになる。【湯浅知彦】