ここからエースの逆襲が幕を開ける。右目を負傷していた仙台FW赤嶺真吾(28)が28日、全体練習に復帰した。最近評価を上げている新外国人ウイルソン(26)の1トップ構想が浮上するなど、ポジション争いは激化の一途。昨季チーム最多14発男が生き残りをかけ、3月3日の練習試合神戸戦(非公開)での実戦復帰&復活弾を目指して調整ペースを上げていく。

 右頬の辺りにかすかな腫れが残る顔で、赤嶺が静かに燃えている。「普通にやっていけば大丈夫だと思います。出場は監督、スタッフの判断になりますけど」。開幕前最後の実戦となる神戸戦へ、自ら“GOサイン”を出した。ただ試合に出るだけでは、たまった鬱憤(うっぷん)を晴らせそうにない。ゴールできれば気持ちよく開幕を迎えられるのでは、という問いかけに「そうですね」と力を込めた。

 神戸戦で実戦復帰→開幕スタメンの青写真があらためて明確になる一方、FW情勢には変化が出ている。赤嶺の離脱中にウイルソン株が急上昇。手倉森監督は「ウイルソンが山形戦で見せたパフォーマンスを考えれば、周りにドンドン追い越す選手を置いた方がいいかもしれない。好調さが開幕まで維持されれば、1トップという状況もある」と構想の一端を披露した。梁をケガで欠き、関口や太田、サッコーニに武藤とアタッカータイプが多いチームの現状とマッチする。

 赤嶺としても厳しい競争は望むところ。前日27日はオフ返上で体を動かすなど、調整に余念がない。18日のブリーラムPEA戦での負傷退場につながったヘディングの練習でも、ためらうことなくボールを頭でしばき上げた。「おでことかのケガではないから、恐怖感とかは別にない」と武器はさびついていない。これには指揮官も「わざとヘディングの練習を入れたんだけどね(笑い)。ボールを強くたたけていた」とひと安心。出遅れたエースが、意地の大まくりを見せる。【亀山泰宏】