守護神が“因縁の開幕戦”を完封する。J2山形は今日4日、フクダ電子アリーナで千葉との今季リーグ第1節に臨む。3日午後にキャンプ地・宮崎を離れて東上したイレブンは気合十分。中でも、昨季開幕戦(対川崎F)でまさかのスタメン落ちを経験したGK清水健太(30)は「ゼロに抑えるのが大前提」と、J1復帰への戦いの始まりに並々ならぬ決意で敵地のピッチに立つ。

 涙をのんだ川崎F戦から1年。今年はキャンプ中全ての練習試合に主力組として出場した清水が、不動の存在としてゴールを守り抜く。「今年は監督も違うし、展開するサッカーも違う。でも、自分は失点しないようにしっかりやるだけ」。自分の任務は心得ている。

 普段からピッチ外では淡々と受け答えする守護神も、「開幕戦」の話題には言葉に熱がこもった。この日からちょうど1年前の3月3日。紅白戦で先発組に入り、慣例通りなら5年連続の開幕スタメンはほぼ手中にしていた。選手、スタッフ、報道陣、誰より清水自身が先発を疑うことはなかった。2日後。等々力競技場の電光掲示板に躍ったのは「GK植草裕樹」の文字。その隣のリザーブの欄に小さく「GK清水健太」。まさかの事態に「『こんなことってあんのか』と思った」。言葉にならなかった。

 それでもふさぎ込むことなく、夏場には定位置を奪回。しかし、17位に低迷していたチームを奮い立たせるまでには至らなかった。「去年は全体的に何をやってもうまくいかなかった。今年は雰囲気も違うし、心機一転やれると思う」。

 植草の抜けた今季、GKは3人体制になった。シュート練習が多く、テンポも速い奥野僚右監督(43)の下では、最も忙しいポジション。「確かに3人ではキツい。でも裏を返せば、いっぱい練習していることになる」。前向きにとらえるが、24歳の鈴木、20歳の中村に比べ、ダイビングキャッチの連続で息を切らすことも増えた。それでもセービングの安定度は若手をはるかにしのぐ。ミスも少ない。何よりピッチ全体、いや道路を挟んだ民家にまでとどろく大声で、チームを支えている。「若い2人もどんどん伸びてきている。でもまだ負けられない」。簡単には不動の座を譲れない。

 08年以来のJ2。当時は全42試合にフル出場し、40失点。1試合で1点取られるかどうかという好成績で昇格に貢献した。「今年もやっぱりそこが基準。まずは開幕戦でゼロに抑えるのが大前提」。地元千葉でのオープニングマッチ。因縁の舞台で、阿修羅(あしゅら)のごとくシュートをはね返す。【湯浅知彦】

 ◆清水健太(しみず・けんた)1981年(昭56)9月18日、千葉県生まれ。地元の市松戸高から00年に柏入団。03年11月15日の神戸戦でデビュー。05年に山形(当時J2)へレンタルで加入。07年に完全移籍。同年から3季連続で全試合フル出場。J通算227試合出場。184センチ、77キロ。独身。利き足は右。血液型AB。サポーターからは「シミケン」のニックネームで親しまれている。