<J1:横浜1-2浦和>◇第25節◇15日◇日産ス

 浦和が逆転優勝へ向けた大きな勝ち点3を手に入れた。アウェーで横浜と対戦し、逆転勝利を飾った。前半5分に先制されたが、同23分に細かいパス回しで横浜守備陣を崩すと、MF柏木陽介(24)が同点弾。さらに後半19分には、DF槙野智章(25)がこぼれ球を押し込んで勝ち越し弾を決めた。首位に勝ち点2差まで詰め寄り、06年以来2度目のJリーグ頂点が徐々に見えてきた。

 試合後のスタジアムに、浦和サポーターの大きな歌声が響いた。「世界に見せつけろ、俺たちの誇り」。ACL優勝を飾った07年から翌08年まで歌われていた世界を意識した歌が復活した。ACL出場、そしてJリーグの頂点が、いよいよ手の届くところまできた。

 試合を決めたのは、DF槙野だった。後半19分、MFマルシオ・リシャルデスがボールを奪ってカウンター攻撃。FW原口が中央をドリブル突破し、シュートを打つが、横浜GKにはじかれてしまう。その瞬間、左サイドには、最終ラインから槙野が走り込んでいた。こぼれ球を拾うと右足で勝ち越し弾を決めた。左胸のエンブレムをつかむと、両こぶしを突き上げた。「ゴールのにおいはぷんぷんしていた。相手が嫌がる危険な動きができていた」と満足げに振り返った。

 昨季はJ1残留争いに苦しんでいたチームが、1年後には優勝争いに加わっている。チームの変革ぶりは、外部から見ても分かる。槙野は9日から3日間、日本代表合宿に急きょ招集された。長友や駒野ら代表レギュラー組のプレーを間近で見て刺激を受けた一方で、代表選手からは「今年の浦和は違う」と声を掛けられたという。「攻撃が嫌なチームになっている、と言われた。戦術が変われば、すべてが変わるということ」。

 最後のタイトルであるACL優勝から5年。栄冠への“飢え”はある。ただし浮足だってはいない。「上を見すぎると足をすくわれる。目の前の相手と1戦ずつ戦っていく」。頂点を目指して、1歩ずつ前進していく。【保坂恭子】