未知の3バックか、それとも急造右サイドバック(SB)か…。仙台のSB不足が“レッドゾーン”に突入した。7日の天皇杯2回戦でJFLブラウブリッツ秋田と対戦するが、チームはここに来て故障者が続出。手倉森誠監督(45)は就任後初めてとなる3バックでのスタートや中盤選手の右SB起用を含め、打開策を検討。今季最大のピンチを総合力で乗りきる構えだ。

 さすがに想定外だろう。手倉森監督も苦笑するしかない。「SBができるのが、ハチ(蜂須賀)しかいない。これまでは誰かケガをしても埋めるヤツがいたけど、こんなのは初めてだ」。8月31日の湘南戦で左SBの石川直が左太ももを痛めて前半に負傷交代。フル出場した右SBの石川大も右足底腱(けん)膜炎が判明した。そろって4日は練習場に姿を見せず、秋田戦の出場が難しくなった。

 両足かかとを痛めていた菅井、7月に右膝を手術した田村は全体メニューに部分合流できるようになったばかり。さらに特別指定の阪南大・二見は大学にいったん戻っており、指揮官からも「どうやっても『4-4-2』が組めない」と珍しく嘆き節が漏れる。

 現状で候補に挙がるプランは2つ。

 (1)3バック

 これまで劣勢のゲーム終盤限定ではあったが、スタートからとなれば初の試み。この日の9対9のミニゲームは3バック気味のシステムで行い、角田は「仙台に来る前はやったこともある。人がいないんじゃ、しょうがない」と早くも腹をくくる。

 (2)急造右SB

 練習後、佐々木と太田に右SB起用の可能性が伝えられた。6月30日のナビスコ杯川崎F戦で経験済みの佐々木は「冗談かと思った(笑い)。そうなったら、前の人に守備を頑張ってもらうしかない」と弱気。未経験の太田は「覚悟はしておきます。プレーの幅が広がると思って、ポジティブに考えるしかないでしょ」と話し、菅井や石川大の映像を見て研究に取り掛かるという。

 手倉森監督は「ある意味、特別な試合になる」と表現した。14日の大分戦もにらんだ試合になるはずが、状況は一変。しかし、どんな逆境であろうと、J1の誇りにかけて負けるわけにはいかない。【亀山泰宏】