<J1:新潟1-0仙台>◇第32節◇23日◇東北電ス

 天皇杯で天敵清水を破った勢いもかすむ完敗だった。仙台がアウェーで新潟に0-1で敗れ、11位に後退した。立ち上がりから相手の激しいプレスに苦しみ、前半18分にセットプレーから失点。結局最後まで敵の術中から抜け出せず、このカード3戦連続の無得点。次節30日はリーグホーム最終戦となる清水戦。今季限りで退任する手倉森誠監督(46)にとってもリーグでは最後のユアスタとなるだけに、この日のような試合は許されない。

 アウェースタンドを金色に染めた仙台サポーターから、容赦ないブーイングが起こった。文字通りの完敗だった。3万を超える大観衆の後押しを受けたホーム7連勝中の新潟の勢いは別格。前線からのプレスで一気に押し込まれ、セカンドボールへの反応も後手を踏み続けた。前半18分にセットプレーから先制点を献上。失点はそれだけだったが、GK林のスーパーセーブ連発がなければ、さらに点差が開いてもおかしくなかった。手倉森監督も「プレスは警戒していたが、重心を下げられて前線へのパスの距離を長くさせられた。つなげなかった」と悔やむしかなかった。

 後半からシステムを「4-3-3」に変更。徐々にボールを持てるようにはなっても、不用意な横パスを奪われてピンチを招く悪い流れは変えられない。数少ないチャンスは13分。鎌田のロングボールに赤嶺が抜け出したが、シュートはバーを越えた。感情をあらわにしてチームを鼓舞し続けた鎌田は「新潟は前で奪ってカウンターという意思統一ができていた。今日は、下でパスをつなぐより、ロングボールを蹴った方が良かった。相手の嫌なところを理解してやれれば、大人のチームになれるし、走らされることも少ないんだけど」ともどかしさを隠さなかった。

 アクシデントも重なった。前半に角田がふくらはぎを痛め、今季初の途中交代。手倉森監督は「アクシデントがあっても、難しい状況でも、勝ちきれるところを示さないといけない。残されたゲームは少ない。全力を注ぐ」と言った。昨季準優勝チームのプライドにかけて、2ケタ順位で終わることだけは避けなくてはいけない。【亀山泰宏】