「3つの速さ」をチームに注入する。J2札幌のバルバリッチ監督(52)が9日、札幌・宮の沢で初指導を行った。チームを変えるための意識付けとして「切り替えの速さ」「寄せの速さ」「判断の速さ」について、強い口調で選手に要求した。まずは、クラブが求める攻撃のスピードアップを図る上での根本理念を植え付け、J1昇格への土台をつくる。

 186センチ、81キロの指揮官が、大きな体全身を使って熱血指導を開始した。ハーフコートに20人以上の選手を1度に入れ、2チームに分けたゲーム形式が始まると「切り替えを速く、球際の寄せを速く、判断を速くしよう!」とゲキを飛ばした。密集でのパス回しで、攻守が激しく入れ替わる。計2時間15分間の“初授業”で、選手の理解、判断力を、じっくり見極めた。

 クラブが監督交代で求めたのが攻撃の速度アップ。そのための準備作業が、今回の「3つの速さ」への意識付け。MF砂川は「ゆっくり考えるのではなく、単純な速さや、頭の回転の速さ、サポートの速さを求めていると感じた。より早く前にいく意識を高めるイメージ」と振り返った。

 DFラインの上下動のルールから、簡単なパス練習でのステップなど細部にわたる指導にも言及。最後の居残り練習だけは、させなかった。「追い込むだけではなく、質の高い休みを取ることも大事」。やるときはやる、休むときは休む。メリハリをつけ、吸収力を高めていく。【永野高輔】