<J1:柏3-1清水>◇第33節◇29日◇柏

 清水はアウェーで柏に敗れ、J1残留を決めるチャンスを逃した。前半10分に警戒していたサイド攻撃から先制点を許すと、同38分にも同様の展開から失点。後半17分には決定的な3点目を失い、途中出場のFW長沢駿(26)のゴールで1点を返すのがやっとだった。痛い1敗を喫したが、順位は残留ラインの15位をキープ。次節ホーム甲府戦(12月6日、アイスタ)では、引き分け以上で残留が決まる。

 残留決定の可能性があった一戦だったが、待っていたのは痛すぎる敗戦だった。26日の天皇杯を回避してこの大一番に照準を合わせてきたが、万全とは程遠い内容で3失点の惨敗。大榎克己監督(49)は「運動量が少なく、ボールも追えていなかった」と、厳しい表情で振り返った。

 残留争いのプレッシャーなのか-。攻守で精彩を欠いた。前半10分、カウンターから左サイドを崩されて先制点を許す。指揮官は「サイドで起点を作らせないように準備をしてきたが、そのクロスから2失点してしまったことは非常に残念だった」。最も警戒していたはずのサイド攻撃で先手を取られると、すべての歯車が狂った。

 同38分にも、同様の展開から2点目を献上。ハーフタイムを挟んでも状況は変わらず、後半17分には決定的な3点目を奪われた。反撃するも、同36分に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂から復帰したFW長沢が決めた約7カ月半ぶりとなるゴールの1点だけ。攻守で完敗だった。

 唯一の救いは、この日残留争いを演じるC大阪のJ2降格が決定。残り1枠を争う大宮も敗れたため、勝ち点差は3のままとなった。最終節ホーム甲府戦は引き分け以上で残留が決まる。大榎監督は「残り1試合にすべてをかける」。長沢も「個人として戦うのではなく、チームのために、サポーターのために、クラブのために戦いたい」と誓った。泣いても笑ってもあと1試合。最後の90分間に全精力を注ぐ。【前田和哉】