インテルミラノのスイス代表FWシェルダン・シャキリ(23)が悩んでいる。ストークからの獲得オファーについて「行きたくない」と拒否反応を示しているが、もっと大きな悩みがある。

 それは数枚の写真だ。1人のファンと和やかに談笑したり、握手を交わしている様子が写っているのだが、実はこの男性がテロの容疑者なのだ。

 英複数メディアによると、写真はシャキリがコソボを訪問した際に撮られたもの。男性はシェフケト・クラスニキ氏といい、同地の過激なイスラム教指導者だという。テロを行った疑いや、人種差別的遺恨を扇動したとして、昨年9月に逮捕されている。

 シャキリは写真について「彼が近づいてきて、一緒に写真を撮るように求められた。何千人ものファンとも同じように写真を撮っているし、断るのも悪いと思ったから」と話し、男性については何も知らなかったと説明した。

 だがこれはスポーツ選手や芸能人にとって、共通する悩みでもある。近寄ってきた人物をいちいちチェックするわけにはいかないからだ。うっかり記念撮影をした相手が暴力団の幹部だったなんていう話は、よくあることだ。

 シャキリも「写真撮影をお願いしてくるファン1人ひとりについて調べるわけにはいかない。でも、僕の家族は厳格なイスラム教徒だけど、過激派のような人たちとは全然違うよ」と話している。

 シャキリは昨年のW杯ブラジル大会に出場し、ホンジュラス戦でハットトリックを決めるなど活躍した。現在行われている欧州選手権予選でも6試合で4ゴールをマーク。E組で首位イングランドに次ぐ2位につけるスイスをけん引している。

 今後もピッチ外での出来事に惑わされることなく、あの切れ味鋭いドリブルと、豪快なシュートを見せ続けてほしい。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)