米MLSが着実にファンを増やしている。
米スポーツビジネス・デーリー紙(電子版)によると、16年シーズンはレギュラーシーズン全340試合で1試合平均2万1692人を集客。これは前年比プラス0・62%で、3季連続の増加になるという。
中でも最も人気を誇るのがシアトル・サウンダーズ。NFLシーホークスも使っているセンチュリーリンク・フィールドをホームに17試合を戦い、なんと平均4万2636人を集めた。
サウンダーズとお隣ポートランドのティンバーズは激しいライバル関係で有名。今年8月21日の一戦では5万3302人ものサポーターが集まり、両軍に熱い声援を送った。
MLSの平均観客動員数2位以下は次のようになっている。
(2)オーランド(3万1324人)
(3)ニューヨーク・シティー(2万7196人)
(4)トロント(2万6583人)
(5)LAギャラクシー(2万5147人)
(6)バンクーバー(2万2330人)
(7)ポートランド(2万1144人)
(8)モントリオール(2万669人)
(9)ニューヨーク・レッドブルズ(2万620人)
(10)ニューイングランド(2万185人)
(11)サンノゼ(1万9930人)
(12)ソルトレーク(1万9759人)
(13)カンザスシティー(1万9597人)
(14)ヒューストン(1万9021人)
(15)フィラデルフィア(1万7519人)
(16)コロンバス(1万7125人)
(17)DCユナイテッド(1万7081人)
(18)コロラド(1万6278人)
(19)シカゴ(1万5602人)
(20)ダラス(1万4094人)
本拠地スタジアムの規模の違いなどもあり、観客動員が少ないからといって、一慨に人気がないとは言えない。
スタジアムの収容人員に対して、ファンが入場した数字で比較すると、20位ダラスですら毎試合、本拠地トヨタ・スタジアムの88・1%の座席が埋まることになる。
20クラブ中、この数字が80%以下のチームはゼロ。この中では一番空席が目立つレッドブルズですら、レッドブルアリーナの81・8%の席が埋まる。
一方、わが日本のJリーグはどうだろうか。今季ここまで最もファンを集めているのはやはりレッズ。1試合平均3万5691人となっている。
だが、その他のクラブで2万人以上を集めるのはG大阪、東京、横浜、川崎F、新潟の5チーム。
観客動員1万9000人のラインで区切ると、MLS=14クラブ、Jリーグ=6クラブとその差は歴然だ。
競技人口を着実に伸ばしてきたことや、サッカー好きの中南米からの移民が多いことも、MLSの成功につながっているだろう。
さらにサッカー界では珍しくドラフト制度があることも大きいと思う。Jリーグではクラブの資金力である程度、力の優劣がついてしまうが、MLSは下位のチームからドラフトを行うため、戦力の均衡が保たれる。
入れ替え戦のあるJリーグでウエーバー制のドラフトを導入するにはルール上で整備する課題も多いと思うが、MLSがこれだけ成功している以上、日本も謙虚に学ぶべき部分は多いと思う。
【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)