ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が壊滅状態の名門再建に、あらためて名乗りを上げた。トリノとのホーム最終戦にフル出場。本田にゴールはなかったが、チームは快勝した。契約期間内で来季も残留が基本線だが「個人の損得でこのチームを去っていく選手は多いが、少なくとも来季も自分は必要とされるならばここに残りたいと思っている」と口にした。

 ホーム最終戦に勝った本田が、ミランの試合後では約2カ月ぶりに口を開き、自身の去就に触れた。将来の話をするのは極めて珍しい。この夏には、経営陣も首脳陣も変わる可能性がある。不確定要素が多い中、来季について決意を込めて言った。

 「選手としてもバロンドールをとったカカ、(それ以外にも)バロテリ、ロビーニョ、本当に世界の最前線で活躍した選手でさえも、この難しいミランを立て直すことはできなかった。個人の損得でこのチームを去っていく選手は多いが、少なくとも来季も自分は必要とされるならばここに残りたいと思っている」

 14年1月に結んだミランとの契約は3年半。残り2年ある。来季もミランでプレーすることが基本線だが、あえて残留を口にした。

 現実的に、今季6得点のFWを高額の移籍金を支払ってまで獲得しようというクラブは多くない。それがミラン以上の格のクラブというなら、なおさらだ。ただ、残留は“泥舟”に乗り続けることになるかもしれない。日本代表ハリルホジッチ監督も確実に出場できるクラブへの移籍を勧めている。それでも自分が選び、望んで移籍金ゼロで加わった。しっぽを巻いて逃げ出すようなことはしない。

 来季は前線にも大幅なテコ入れがなされるはず。競争も歓迎した。「今の前線はひと昔前と比べるとレベルが全体的に下がっているということで、こういう形で何とかレギュラーは1年間キープできたけど、来年からは本当の意味でのレギュラー争いが始まるのではないかと思う」。残り1試合。せめて気持ちよく勝って来季につなげたい。【波平千種通信員】