5月31日付の英紙サンデー・タイムズは、国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件で、スイス検察当局がブラッター会長(79)を聴取する方針と報じた。18年と22年のW杯招致に絡む捜査の一環としている。29日の会長選挙で5選を果たしたブラッター氏は、自身への捜査の可能性を否定。スイス検察当局者は同日、近く聴取する計画はないとした上で「必要が生じれば行う」と述べた。当局が聴取に踏み切れば同氏の責任を追及する声が高まりそうだ。同紙によると、検察がFIFA本部から書類を押収、関係者の銀行口座を凍結し、聴取に備えてきた。欧州サッカー連盟のプラティニ会長からも「情報提供者」として事情を聴く方針。

 また10年のW杯南アフリカ大会の招致に絡んで、当時のワーナー副会長(起訴)に渡ったとされる賄賂1000万ドル(約12億円)の金の流れをFIFA現職幹部が把握していた疑いのあることが、米司法当局の起訴資料などで分かった。

 賄賂は08年にFIFAの銀行口座から、ワーナー氏が管理する口座に3回に分けて送金された。米メディアは、通常であればFIFAのバルク事務局長と財政責任者のカットナー氏の承認が不可欠と伝えた。

 南ア側はワーナー氏らへの「謝礼」を政府資金から支出しにくいと判断。代わりにFIFAから南アに供与されるはずだった大会開催国への援助金を転用する形でワーナー氏側に金が渡ったとされる。南アとワーナー氏は不正行為を否定している。