南米トリオを擁するバルセロナ(スペイン)がユベントス(イタリア)を下し、4季ぶり5度目の優勝を飾った。アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(27)が全得点に絡めば、ウルグアイ代表FWルイス・スアレス(28)が決勝点を挙げ、ブラジル代表FWネイマール(23)も負けじとダメ押しの3点目。強力3トップがそろい踏みし、史上初となる2度目の3冠(国内リーグ、国王杯、欧州CL)を達成した。

 6分を超える長いロスタイム。ネイマールのゴールが試合終了を告げるホイッスルだった。ダメ押しの3点目を挙げると、サポーターのいるスタンド下へ走る。仲間が駆け寄り、だれかれ関係なく抱き合い、跳びはねた。グアルディオラ監督(現Bミュンヘン)が指揮した08-09年シーズン以来、史上初となる2度目の3冠を達成だ。クラブOBで、就任1年目のルイスエンリケ監督が言う。「この10年で勝ち取ったトロフィーの数からすると、バルセロナが欧州最高のクラブだ」。我こそ史上最強、と胸を張った。

 7万442人の観衆を沸かせ、勝負を決めたのは南米3トップだった。1-1の後半23分。センターサークル付近からメッシがドリブルで持ち上がる。ネイマールの動きをおとりに、ゴール前へ持ち込みシュート。そのこぼれ球をスアレスが見逃さず、右足で押し込んだ。スアレスは「相手は同点にした後、勢いをつけチャンスをつくった。だが、バルサには違いを生み出せる選手たちがいる」と揺るぎない自信を口にした。

 バルセロナといえば、これまでグアルディオラ監督が築いた70%以上のボール保持率を誇るスタイルが基盤だった。だが長年同じスタイルを続けたことで対戦相手に研究され、昨季は6シーズンぶりの無冠に終わった。そんな中、就任したルイスエンリケ監督はメッシ、ネイマール、スアレスと圧倒的な個性を持つ3人を生かすため、縦へのスピードあるサッカーを、従来のスタイルに融合させた。新加入のスアレスは、昨年のW杯のかみつき騒動でデビュー戦が10月まで遅れた。それでも今季公式戦60試合で、3人が挙げた得点は、合計122点(メッシ58点、ネイマール39点、スアレス25点)にも及んだ。

 今後は「打倒バルサ」を合言葉に再び、強豪クラブが挑んでくる。だが、今季限りで退団するシャビは「3冠は簡単に獲得できるものではないが、チームは今後も勝ち続けるだろう」と言葉に力を込めた。不可能と思われた個性と連係を融合させ、もう1つ上のステージに到達した「最強軍団」。来季は、史上初の欧州CL2連覇の期待がかかる。【中野吉之伴通信員】

 ◆バルセロナ 1899年創設。スペイン1部リーグ初代王者で通算23度優勝。欧州CLは欧州チャンピオンズカップ時代の91-92年シーズンに初制覇。最近10季では4度制した。本拠地のカンプノウは約10万人を収容。愛称はユニホームの色からブラウグラナ(青とえんじ色)。Rマドリードとのライバル関係は有名で、両者の対決は「クラシコ」と呼ばれる。08-09年も欧州CL、国内リーグ、国王杯の3冠を遂げた。

 ◆得点王は3人並ぶ ネイマールが初、メッシは5度目、ロナルドは4度目。