スイスの検察当局は背任と横領の疑いで国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長の捜査を開始し、事情聴取したと25日発表した。FIFA本部も捜索し、文書などを押収した。

 ブラッター氏の弁護士は疑惑を否定する声明を出した。一連の汚職事件への関与を一貫して否定しているが、捜査がFIFAのトップに及び、新たな局面を迎えた。

 検察当局の声明によるとブラッター氏は2011年2月、欧州サッカー連盟(UEFA)のプラティニ会長にFIFAの資金200万スイスフラン(約2億4800万円)を不法に支払ったとされる。05年9月、ワーナー元FIFA副会長=米司法当局が起訴=がトップを務めたカリブ海サッカー連合と結んだ契約が、FIFAの利益に反する行為だったことも疑われている。

 ブラッター氏の聴取は25日のFIFA理事会後に行われ、プラティニ氏からも事情を聴いた。英BBC放送(電子版)によると、ブラッター氏の弁護士は「契約は適切で、不正はなかった。スイス当局は捜査によって、それを確かめるだろう」と声明を出し、プラティニ氏は「全てのことを明確にできた」とコメントした。

 FIFA元理事で日本サッカー協会の小倉純二名誉会長は、嫌疑について「徹底的に調べてもらいたい。何があったか分からなければ、改革もできない」と訴えた。ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は「解体せよ!」との見出しを立て「新たな連盟の設立が必要だ」と報じ、抜本的な出直しの必要性を指摘した。

 12月には日本でクラブワールドカップ(W杯)が開かれる。トヨタ自動車が撤退した冠スポンサーに新たな名乗りは上がらず、同時期のFIFA理事会はチューリヒでの開催。日本協会のスタッフは「大会期間中に別の話題が盛り上がるとなればスポンサーの方々はどう思うか」と心配した。

 FIFAは来年2月の総会で、新たな会長を決める選挙を行う予定。プラティニ氏は会長選出馬を表明している。