レスターFW岡崎慎司(30)のプレミア1年目が幕を閉じた。15日に行われた最終節の敵地チェルシー戦に後半から出場。18試合ぶりの途中出場で無得点だったが、ポジション争いが激化する来季への予行演習ととらえた。リーグ初挑戦の今季は38試合中36試合(先発28試合)5得点。チームは1-1で引き分け、12戦無敗で有終の美を飾った。

 岡崎は怒っていた。設立140年目の伝統あるスタンフォードブリッジ。チェルシーのファンも一緒になって、創設133年目の初優勝を遂げたレスターにカンピオーネ(王者)の大合唱を送った。その中で18試合ぶりのベンチスタートを強いられる。「前半から出る流れがあったので」。困惑しながらも「怒りをエネルギーに変える」原点を思い出した。後半開始から出場し、13分に頭、14分にヒールで連続シュート。得点こそ奪えなかったが、同点劇に貢献した。

 世界最高峰リーグで38試合中36試合に出場。歴代日本人の最多出場記録を更新した上で奇跡の優勝に貢献した。ラニエリ監督から「来季も同じようにやってくれれば」と献身性を高く評価されたが、満足はできない。「腹立つ(笑い)。こういう選手と思われるのが最も嫌。その評価を絶対に変えてやる」。試合後、1人だけ怒りに満ちた表情で腰に手を当てた。5得点に終わった悔しさが、おとぎ話から現実に引き戻した。

 一方で、冷静に予行演習と位置付けた自分もいる。欧州CLにも挑む来季を見据えた補強で、コロンビア代表FWファルカオ、アイスランド代表MFシグルズソン、イタリア2部の得点王ラパドゥーラの名が挙がる。「ビッグクラブで先発争いすることを自分は諦めていたのに、まさかレスターで。来年のスタートは、こういう感じ(途中出場)かもしれないけど、俺はチームが今年の調子でいくとは思っていない。その時に救世主になりたい」。もちろん先発の座を譲る気はないが、早くも来季を想定。最終戦の悔しさを、プレミア2年目への活力にする。【木下淳】