<セリエA:ACミラン1-0ベローナ>◇19日◇ミラノ

 【ミラノ(イタリア)=八反誠、波平千種通信員】ACミランの日本代表MF本田圭佑(27)が、トップ下でリーグ初先発を飾った。日本代表でも君臨する定位置でスタートしたが、後半18分で交代し、見せ場はなかった。本田の交代後、同37分にFWマリオ・バロテリ(23)がPKを決め勝利。チームはクラレンス・セードルフ新監督(37)の初采配を白星で飾った。

 ここミラノで本田はまだ、どこか“お客さん”扱いされているのかもしれない。後半18分。交代する背番号10に、本田コールが起きた。リーグ初スタメンを飾り移籍加入後3試合目で最も自信を持つトップ下でプレーした。だが、見せ場はなかった。スコアはまだ0-0。強い雨の中、上着を着てセードルフ新監督と握手し、ベンチに下がった。同監督の初采配初勝利となる終了のホイッスルをピッチで聞くことはなかった。

 明らかに納得していなかった。試合後、本田はスカパー!のテレビインタビューにだけ答えた。

 本田

 まだまだ質を高めていかないといけない。勝てたのは良かった。チームがボールを長い間保持することが足りないことだと思っているんで、そこを自分が率先してやりながら、なおかつ得点を目指していけたらなと思っています。(どの程度やろうとしていることができているか?)全然ですよ。50%もいっていないんじゃないかと思います。

 自ら、満足度は半分以下と切り捨てた。物足りない点ばかりだった。前半13分の直接FKははるかゴール上に外れ、観客席に飛び込んだ。4分後にはDFデシリオの右クロスを、手を上げて呼び込みゴール前に走り込んだ。ドンピシャのボールが来たがトラップが大きく、決定機を逃して天を仰いだ。パスミスからカウンターを食らう危ないシーンもつくった。雨に加え、周囲との距離感にも苦しみ不完全燃焼だった。

 理由は2つ考えられる。1つはピッチ。本拠地サンシーロは12-13年シーズンから人工芝と天然芝をミックスさせた独特の状態で管理されている。場所により硬かったり滑りやすかったりで、状態の把握に手間取り“地の利”を得られていない。もう1つは過密日程だ。ベローナ戦までの8日間で3試合。本田は4日にミラノ入りし、行事と練習に忙殺されている。一夜明けた20日も練習で、これで17日間の“連続勤務”。時差調整しながら新たな環境に適応中。イタリアのメディアによると、まだホテル暮らしでなかなか落ち着かないようだ。

 セードルフ新体制となり、4-3-2-1から4-2-3-1へとシステムが変化した。その初陣でカカとロビーニョをサイドに従え、中央のトップ下に配置された事実は重い。新体制でまずはトップ下を勝ち取ったことになる。「話し合って(セードルフ新監督が)何を僕に求めるのか時間をかけてクリアにしていきたい」。心の底から本田コールを受け入れられるミランの真の10番へ-。その高みまで時間をかけず、一気にのし上がる必要がある。