日本のアンカーは16歳! 陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(東京・城西高2年)が、世界選手権(北京、8月22日開幕)の400メートルリレーで4走に抜てきされる可能性が出てきた。29日、高校総体(和歌山・紀三井寺陸上競技場)が開幕。200メートルで北京行きが確実なサニブラウンに日本陸連の苅部俊二短距離部長(46)は日本代表リレーチーム初招集を要請する方針。注目の走順を「見立てはアンカー」と明かした。

 刺激的なプランが浮上した。サニブラウンが日本のアンカーを務める。高校総体初日を視察した日本陸連の苅部短距離部長は、16歳について「リレーに走るのであれば、ストレスのないところで走らせてあげたいと思っています。現時点の見立てはアンカーです」と明かした。400メートルリレーのアンカーは花形。ウサイン・ボルトもジャマイカのアンカーを務めており、一緒に走る可能性もある。

 今月中旬に行われた世界ユース選手権(コロンビア)で日本勢初となる100メートルと200メートルの2冠。特に200メートルでは20秒34でボルトが持つ大会記録を0秒06更新し、個人種目での北京切符を確実にした。開幕時点で16歳5カ月のサニブラウンは、男女通じて日本最年少での代表入りとなる。追加代表は8月3日に発表予定だ。

 その類いまれな走力を、日本のお家芸であるリレーに生かす。苅部部長は「400メートルリレーのメンバー入りは99%の確率だと思います」と明言。8月中旬には日本代表リレーチームの練習に初合流させる。

 187センチの長身と大きなストライドはアンカー向き。日本の代名詞であるアンダーハンドパスは経験がないが、4走ならばバトンを受けてゴールに走るのみ。バトンワークへの不安も軽減される。苅部部長はこの日、サニブラウンにヒアリングを行い出場の意思確認も行った。

 最終的な走順は、代表合宿で状態を見た上で、最終決定される。「他の走順に適性があるかもしれないので」と苅部部長。ただ「代表に選ばれたら、チャレンジャーとしてシニアとどれだけ戦えるか、試したい」という16歳が、日本のアンカーを務めれば、世界に大きなインパクトを与える。

 ◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日、福岡県生まれ。ガーナ人の父を持ち、小3で陸上を始める。20年東京五輪に向けた日本陸連の育成プロジェクト「ダイヤモンドアスリート」の一員。自己ベストは100メートルが10秒28、200メートルは20秒34。6月の日本選手権では100メートル、200メートルともに2位。7月の世界ユース選手権は100メートルと200メートルで2冠を達成。187センチ、74キロ。

 ◆世界選手権 8月22日から30日まで中国・北京で開催される。メーン会場は08年に北京五輪でも使われた国家体育場(愛称・鳥の巣)。男子400メートルリレーは29日に予選、決勝が行われる。