上からサニブラウン! 陸上世界選手権北京大会(22日開幕)男子短距離代表のサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)に、特例プランが浮上した。6日、東京都内で日本代表の結団式に参加。同400メートルリレーのアンカー案がある16歳に日本の代名詞アンダーハンドパスではなく一般的なオーバーハンドパスを検討していることが判明した。バトンワークの不安を軽減する異例の選択肢だ。

 え、そんなのあり!? 初代表のサニブラウンに、心強いスペシャルプランが用意される。男子400メートルリレーでアンカー案がある16歳に、オーバーハンドパスの選択肢が準備される。日本陸連の苅部俊二短距離部長(46)は「サニブラウンの時はオーバーハンドパスを採用する可能性はあります。全員がアンダーハンドを使うという決まり事はない」と話した。

 発想の転換ともいえる異例のプランだ。1走→2走→3走までは下から、3走→4走だけを上から渡す。苅部部長は「渡す方(3走)は下でも上でも渡すだけなので問題ない」。サニブラウンは代表合宿に10日から初合流を予定。メンバーとアンダーハンドパスを試した上で、本人の意見を尊重して、決める方針だ。

 アンダーハンドパスは08年北京五輪で銅メダルをもたらした日本のお家芸だが、国内では代表以外で採用するチームはまれで、サニブラウンも経験はない。北京大会はけがの桐生、不調の山県と2枚看板が不在。サニブラウンは同選手権男子200メートルに世界最年少で出場を決めた逸材だ。16歳にアンカーを任せるからには、唯一の不安材料であるバトンワークのリスクを軽減させる。

 サニブラウンはこの日、結団式で初めて代表ジャージーに身を包んだ。「今より世界中で注目が集められる選手になりたい。走順はわからないが、全員の分、思いを背負って走りたい。ワクワクしています」。チームの目標はメダル獲得。16歳は上からでも、下からでもバトンをとればあとは爆発する。

 ◆アンダーハンドパス 手のひらを下に向けた状態で、バトンを受ける。渡す方は下から上にバトンを振り上げて相手の手のひらに押しつける。両者が接近しないと渡せないがスピードを落とさずミスが少ない。オーバーハンドパスは互いの腕を伸ばすため距離を稼げるが、ミスをしやすい。