国際陸連は13日、ロシアの組織的なドーピング問題で臨時理事会を開き、ロシア陸連に対して暫定的な資格停止処分を科したと発表した。薬物違反による各国・地域連盟の資格停止は初めてで、処分は即有効となる。同国の陸上選手は国際大会への出場を禁じられ、反ドーピング態勢で改善がなければ、来年のリオデジャネイロ五輪にも出場できない可能性が出てきた。

 国際陸連のコー会長は理事会後、取材に応じ「ロシアの選手がリオ五輪に出られるかは今後のロシア陸連の対応による。どこに過ちがあったのか、固い決意で見直してほしい」と厳しい表情で語った。

 臨時理事会は電話会議の形式で行われ、27人のメンバーのうち24人が参加。ロシアの理事を除く23人で投票した結果、22対1で暫定的な資格停止処分を決めた。ロシアで予定されていた来年の世界ジュニア選手権と競歩のワールドカップ(W杯)の開催資格も剥奪した。代替開催地を決めるか、大会中止とするかは早急に公表する。ロシア選手は国内の大会には出場できる。

 インタファクス通信などによると、ロシア陸連のブトフ事務局長は「不服申し立てはしない」とし、改善に取り組む考えを示した。処分解除にはロシア側が違反選手リストを提出し、新たな検査態勢を構築することが求められる。反ドーピングの専門家をトップとする調査チームを受け入れ、改善への道筋を示す必要がある。国際陸連は正式な資格停止処分を下すかを判断するために聴聞会を開くことができる。

 世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会は9日に調査報告書を公表。国家ぐるみのドーピングを問題視してロシア陸連に資格停止処分を科すよう、国際陸連に勧告していた。