陸上のダイヤモンドリーグ第1戦のドーハダイヤモンドリーグが6日、カタールの首都ドーハで開催される。男子1500メートルのアスベル・キプロプ(26=ケニア)、男子3段跳びのクリスチャン・テイラー(25=アメリカ)ら昨年の北京世界陸上金メダリスト10人が開幕戦を飾る。男子1500メートルと3段跳び、歴代上位記録保持者が3人出場する男子3000メートル障害などで好記録が期待できそうだ。

 テイラーは昨年の北京世界陸上で18メートル21と、1995年にジョナサン・エドワーズ(イギリス)がマークした伝説の世界記録に8センチと迫った。北京では「記録が近づいてくると、よりハングリーになる」と話したテイラー。シーズンイン直後は難しいかもしれないが、18メートル前後をドーハで跳ぶことができれば今季中の記録更新に大きく近づく。

 13年モスクワ世界陸上に18メートル04(世界歴代5位)で優勝したテディー・タムゴー(26=フランス)も出場。18メートルジャンプの応酬も期待できる。

 男子1500メートルには世界歴代3位の3分26秒69を持つアスベル・キプロプ(26=ケニア)と、歴代5位の3分27秒64のサイラス・キプラガト(26=ケニア)が出場する。

 1989年生まれ同士。お互いを尊敬する好ライバル関係で、ドーハでは2人そろって3分29秒台で2度走っている。2012年はキプラガトが、14年はキプロプが競り勝った。今年も僅差の勝負が期待できる。ドーハで3分28秒台を出すことができれば5月としては過去最高記録だ。

 男子3000m障害には世界歴代3位の7分54秒31を持つポール・キプシール・コエチ(34=ケニア)、歴代6位の7分55秒76のエゼキエール・ケンボイ(33=ケニア)、歴代10位の7分58秒41のジャイラス・キプチョゲ・ビレチ(23=ケニア)と、3人の7分台ランナーが出場する。

 五輪&世界陸上ではケンボイが金メダル6個と圧倒的な強さを見せるが、ダイヤモンドリーグとなると話は別。7分台の回数はケンボイの3回に対しコエチは9回で、その全てをダイヤモンドリーグで走ってきた。14年、15年のダイヤモンドリーグ年間チャンピオン(下記のダイヤモンドリーグ解説参照)は、若手のビレチである。

 ドーハは09年にケンボイが、12年にはコエチが7分台で走っている大会。中盤まではペースメーカーが付き、世界記録(7分53秒63)のペースで引っ張るだろう。終盤まで競り合えば、12年ぶりの世界新誕生の可能性もある。

 女子では100メートルに出場するシッパーズ(23=オランダ)が注目される。14年までは7種競技が中心で13年モスクワ世界陸上では銅メダルを獲得した選手。短距離に力を入れ始めた昨年、北京世界陸上200メートルで金メダル、100メートルで銀メダルをとって世界を驚かせた。

 北京世界陸上銅メダルのトーリ・ボウイ(25=アメリカ)、10秒76と自己記録では一番のヴェロニカ・キャンベル・ブラウン(33=ジャマイカ)らに勝つには、苦手のスタートがカギを握りそうだ。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各種目は年間7大会で実施され、各大会のポイント(1位10点~6位1点)合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。