女子100メートルはトリ・ボウイ(25=米国)が10秒80の今季世界最高記録で優勝した。七種競技から転向してきた注目選手、ダフネ・シュキッパーズ(23=オランダ)は0・03秒差の2位だった。シーズン最初のビッグゲームということもあり、12種目で今季世界最高記録が誕生した。

 ボウイも会心の飛び出しではなかったが、左隣のレーンのシュキッパーズにスタートから先行した。その差は大きくはなかったが、最後まで縮まらなかった。10秒80は自己タイ記録。レース後のボウイは「自分が昨年よりも明らかに強いスプリンターになっていると感じていたので、シーズンに入るのを待ちわびていたの」と喜んだ。

 2013年までは11秒13がベストで、全米学生のタイトルを取ったこともある走り幅跳びが中心だった。14年に自己記録を10秒80まで一気に伸ばし、ダイヤモンドリーグでも3勝した。昨年の北京世界陸上は銅メダル。今回銀メダルのシュキッパーズに勝ち、リオ五輪では金メダルのシェリー・アン・フレイザー・プライス(29=ジャマイカ)に挑戦する。

 シュキッパーズも敗れたとはいえ、わずか30センチ程度の差。今レースでも唯一の白人選手として存在感をアピールした。「スタートは悪かったけれど、自己記録(10秒81)に近づくことができたし、感触も悪くなかったわ」と、納得している様子だった。

 女子棒高跳びでは陸上界の今季注目選手の1人、サンディ・モリス(23=アメリカ)が4メートル83のダイヤモンドリーグ新記録で優勝。3月の全米室内で4メートル95に成功し、3人目の5メートルジャンパーの有力候補になっている。

 日本勢は男子1600メートルリレーに日本選抜チームが出場し、田村朋也(23=住友電工)、金丸祐三(28=大塚製薬)、小林直己(25=東海大)、加藤修也(21=早大)のメンバーで2位に食い込んだ。タイムは3分02秒45で、国際大会2レース合計タイムで決まるリオ五輪出場圏内に入った。

◆今季の女子100メートル

 最大の焦点は五輪2大会連続金メダルのフレイザー・プライスの3連勝がなるかどうか。そしてフレイザー・プライスを止めるとしたら誰なのか。

 昨年の北京世界陸上はフレイザー・プライスが、スタートで飛び出し逃げ切る勝ちパターンを寸分の狂いもなく実行した。シュキッパーズは後半で追い上げたが届かず2位。そのとき3位だったボウイは、やはりスタートで出遅れているが、今季のドーハではその点に進歩が感じられた。

 昨年10秒79のシーズン世界2位記録で走ったイングリッシュ・ガードナー(24=アメリカ)、13年の世界陸上銀メダルで昨年も10秒81で走っているムリーユ・アウレ(28=コートジボアール)らも、フレイザー・プライスに挑戦するだけの力を持つ。