アフリカ初開催となったダイヤモンドリーグで4種目の今季世界最高記録が誕生した。男子では3000メートルのアドベラッティ・イグイダー(29=モロッコ)が7分36秒85、3000メートル障害のコンシスラス・キプルト(21=ケニア)が8分02秒77、女子では800メートルのキャスター・セメンヤ(25=南アフリカ)が1分56秒64、5000メートルのアルマズ・アヤナ(24=エチオピア)が14分16秒31と、すべてアフリカ勢によってマークされた。
力の差を見せつける独走劇だった。女子5000メートルはアヤナが2000メートル手前からリードを奪い始め、フィニッシュでは2位に約70メートル差をつけた。
世界記録の14分11秒15に約5秒、自己記録の14分14秒32にも約2秒届かなかったが、この日の14分16秒31はセカンド記録の世界最高タイム。アヤナの底力がアップしていることを証明していた。
「世界記録を狙っていたのでがっかりしています。今日は風が気になりましたね。でも、今シーズン中に世界記録は破れると思います」
アヤナは昨年の北京世界陸上の5000メートル金メダリスト。1万メートルではまだ目立った記録を残していないが「リオ五輪では5000メートルと1万メートルの2種目を狙っている」と意欲を見せた。
女子800メートルのセメンヤは対照的に、最後の50メートルだけで2位を1・10秒引き離した。
「トレーニングでは戦術的な狙いで、速いスピードの区間を設定して走ったりしています。今日はその成果を出すことができました」
優勝記録が1分56秒64という全体的なハイペースのなかで、今回のようなラストスパートができる。世界陸上に優勝した2009年の力を完全に取り戻したと見て良さそうだ。
◆今季の女子5000メートル
今季はまだ、ラバト大会以外では目立った記録は生まれていない。
昨年の実績では北京世界陸上1500メートルに優勝し、5000メートルでは3位だったゲンゼベ・ディババ(25=エチオピア)がアヤナに対抗する一番手。5000メートル世界記録保持者のティルネッシュ・ディババ(エチオピア)を姉に持ち、自身も昨年7月に1500メートルで世界記録をマークした。
ケニア勢は昨年からこの種目ではエチオピア勢に押され気味だが、北京世界陸上1万メートル金メダルのビビアン・チェルイヨット(32)が2種目に挑戦してくると、エチオピア勢に割って入る勝負強さがある。