「陸上界の相武紗季」が恩返しの思いで20年東京五輪を目指す。女子7種競技の桐山智衣(25=ヤマダ電機)が13日、群馬・高崎市内で行われた新加入会見に出席した。

 在籍していたモンテローザが3月末の廃部に伴い、今季からヤマダ電機に移籍。桐山は「たくさんの人に応援されて、愛される選手になりたいです」と抱負を語った。昨年8月にモンテローザの廃部を言い伝えられた。3月中旬まで新たな所属先は見つからず、冬は「陸上ができるのかな」と不安だったという。日本選手権を14年に制覇し、ここ2大会も準優勝。日本トップクラスの実力だが「環境がなかったら、そこまでの選手」と引退も覚悟していた。競技生活の危機を救ってくれたヤマダ電機に感謝し「2020年に向けてトレーニングしていきます」と語った。

 笑った時のエクボが特徴。県岐阜商高時代には友人から「相武紗季に似てる」と何度か言われたという。たしかに…髪形こそ違うが、どことなく雰囲気は似ている。桐山は「めっそうもないです」と、取材をチームメートに聞かれるのが忍びない様子だったが「うれしかったです」と笑う。

 8月の世界選手権(ロンドン)の参加標準記録は6200点だが、自己ベストは5597点。参加標準記録を超えるのは難題と自覚する。そのため日本グランプリシリーズ第1戦「TOKYO Combined Events Meet」(今月22~23日・駒沢)を突破し、6月のアジア選手権(インド・ランチー)の優勝が目標だ。そうすれば世界選手権の出場権を得られる。「ヤマダ電機」の看板を胸に世界の舞台に立てば、拾ってくれた恩返しになる。

 ヤマダ電機は3月まで女子長距離の専門チームだったが、モンテローザからトラックとフィールドの選手とスタッフ含め7人が移籍してきた。登録名称もヤマダ電機女子陸上競技部からヤマダ電機陸上競技部への変更となった。