国内ではトラック&フィールドの秋シーズン全国大会第2弾、社会人トップ選手の大半が出場する全日本実業団対抗選手権が開催される。海外では秋のマラソンシーズンが開幕。好記録が出ることで知られるベルリンマラソンが行われる。

 全日本実業団には8月のモスクワ世界陸上代表が21人出場する。最激戦種目は男子の200メートルと1万メートル競歩で、ともに4人の代表選手がエントリーした。

 200メートルには4×100メートルリレー6位入賞メンバー2人が出場する。山縣亮太(21=慶大)の故障欠場で急きょ2走を務めた藤光謙司(27=ゼンリン)と、3走を受け持った高瀬慧(24=富士通)。リレーは補欠だったが200メートルに出場した小林雄一(24=NTN)は、日本選手権では2位と今大会出場選手ではトップだった。さらに400メートルで世界陸上準決勝まで進んだ金丸祐三(26=大塚製薬)がスピード強化のために出場する。

 その4人に加えロンドン五輪4×100メートルリレー5位入賞時の2走だった江里口匡史(24=大阪ガス)と、3走だった高平慎士(29=富士通)もエントリーしている。リレーの北京五輪銅メダリストで、2004年以降続けてきた代表入りが途切れた高平がどんな走りを見せるか。

 シーズンベストでは小林、高瀬、藤光、高平の4人が20秒46~20秒52の間に固まっている。20秒50を切る優勝記録を期待したい。

 1万メートル競歩はモスクワ世界陸上20キロ競歩代表だった鈴木雄介(25=富士通)と、50キロ競歩代表トリオの谷井孝行(30=佐川急便)、荒井広宙(25=自衛隊体育学校)、森岡紘一朗(28=富士通)が出場する。ロンドン五輪20キロ競歩代表だった藤沢勇(25=ALSOK)を加え、5人のトップウォーカーが顔をそろえる。

 今年20キロ競歩で日本記録を2度更新した鈴木が優勝候補。スピードでは一枚上と見て間違いない。

 だが、森岡もチームの後輩には負けられない。2年前のテグ世界陸上で6位入賞するなど近年は50キロ競歩で結果を残しているが、1万メートル競歩の日本記録を持っているのは森岡である。鈴木と同学年の藤沢も、学生時代は何度も鈴木に勝っている。簡単に引き下がるわけにはいかない。

 鈴木が3月に出した20キロの日本記録は1時間18分34秒。今大会はその半分の距離なので、39分07秒84の日本記録更新は期待していい。

 世界陸上が終わり、金丸のように課題克服のため専門以外の種目に出る選手も多い。800メートル日本記録保持者の横田真人(25=富士通)は1500メートルに、マラソンのモスクワ世界陸上5位の中本健太郎(30=安川電機)は1万メートルにエントリーしている。

 女子では100メートル障害のモスクワ代表だった紫村仁美(22=佐賀陸協)と、ロンドン五輪代表だった木村文子(25=エディオン)の2人が100メートルにも出場する。【9月後半の主な陸上競技大会】9月20日~22日:全日本実業団対抗選手権(埼玉県熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)9月29日:関東大学女子駅伝(千葉県印西市)9月29日:ベルリンマラソン