女子走り高跳びの第一人者、ブランカ・ブラシッチ(26=クロアチア)が18日、世界新を宣言する。スーパー陸上2010川崎(19日・川崎市等々力陸上競技場)の内外トップ選手の記者会見が、同市内で行われるが、ブラシッチが2メートル9の世界記録更新に挑むことを表明する。昨年8月にはあと1センチに迫っており、期待度は十分。大会の模様はTBSテレビで午後3時から生中継される。

 等々力競技場のバーの高さが2メートル10に上がる。これはステフカ・コスタディノワ(ブルガリア)が、87年8月30日にローマでマークし、23年間破られていない世界記録を1センチ上回る。ブラシッチは193センチの長身を生かし、世界一の高さに果敢に挑む。

 9月5日、母国のスプリトで開催されたコンチネンタル杯。ブラシッチは今季世界最高で、大会記録ともなる2メートル5を跳んで優勝した。この時も2メートル10に挑戦したが、失敗。「簡単ではないが、近々、自分が世界記録を更新できる可能性はある」と話した。マネジャーのエドレツバーガー氏は「スプリトは素晴らしいショーだった。川崎でも日本の観客の前でこのくらいの高さを跳ぶ準備はできている」と日本で今季最高、さらには世界新の予感を語っている。

 シーズン終盤になって調子が上がってきたブラシッチだが、今季は本来の調子を取り戻すまでかなり時間を要した。「たぶん冬から春にかけてのハードな練習が原因で足が重く、跳びあがる瞬間に十分な爆発力がなかった」という。「自分が試合運びを支配できていないと感じ、不安にかられた。これは選手にとっては最悪な状況だ」とも振り返った。しかし、こんな状況でもダイヤモンドリーグに全勝できたことで「パーフェクトな状況でなくても戦うことができるという、新たな自分の側面を発見できた」とも話す。

 「その時のベストを尽くし勝つこと、そして、前年よりいい結果をだすことが大事。観客の雰囲気がいいと結果がついてくる」という。日本は3年前に大阪世界陸上を制した思い出の地。「川崎でもファンの皆さんと素晴らしい時間を過ごせると確信している」とブラシッチは、今やおなじみとなった勝利の舞いを思い描いている。