<大阪国際女子マラソン>◇30日◇大阪・長居陸上競技場発着(42・195キロ)

 最強のママさんランナー、赤羽有紀子(31=ホクレン)が、5度目のマラソン挑戦で悲願の初優勝を果たした。

 夫の周平コーチ(31)も感無量の面持ちだった。「終盤勝負だった。本人は途中イライラして前へ出そうになったけど出なかった。我慢できたのは成長」。その顔には夫でなく、コーチとしての自負があった。

 城西大にはマネジャーとして入部。そこで赤羽と知り合い、交際が始まった。「昔から仕切るのが好き」という性格。主務となった3年からは練習メニューの作成から、選手勧誘、運営費の管理まですべてこなした。卒業後にはクレジットカードのトップセールスマン。3年で退社し、2人で赤羽の実家のある栃木・芳賀町で農業を継ぐはずだったが、専属コーチとしての競技人生にはまった。

 最初は試行錯誤のコーチ稼業だった。「練習メニューを出したら半分くらいは書き換えられた」。お互い言いたいことは言うが、引きずらない。そこは夫婦としてのきずなの強さ。長女優苗ちゃんの食事、面倒も「主夫」として一手に引き受ける。「年齢的にもロンドン五輪が最後かも。目標が決まっているので支える側はやりやすい」と言う。

 アラサー(30歳前後)を迎えて競技人生のピークに入った赤羽について「きちんと結果を出してくれる。コーチ冥利(みょうり)に尽きます」。今回の優勝で、夫婦のきずなはさらに深まった。