<陸上:布勢リレーカーニバル>◇26日◇鳥取県コカ・コーラウエストスポーツパーク陸上競技場

 女子100メートルで福島千里(北海道ハイテクAC)が「幻」の日本記録をマークした。第2レースを11秒16で走り抜け、昨年4月の織田記念でマークした日本記録11秒21を更新…と思われたが、追い風3・4メートルのため参考記録になった。「100%、いや1000%、風のおかげ。前半スピードに乗って、あとは風が走ってくれた」。前の組は追い風0・1メートル。気まぐれな日本海の風に、アジアの女王も苦笑するしかなかった。

 予感はあった。「記録挑戦会」をうたうこの大会では、09年に1日2度も日本記録を更新した。この日も午前中の第1レースは、向かい風0・3メートル中、自己2番目のタイムとなる今季自己最速11秒24を記録した。「常に調子は良かった。練習通りというか、普通にしっかり走れました」。

 追い風参考とはいえ日本女子で初めて11秒1台を体験した。単純比較はできないが、北京五輪なら7位の11秒19を上回る。「神様が何秒か風をずらしてくれれば…」という中村宏之監督(65)も「ランナーは走った感覚を体で受け止めている。そのうち11秒1台が出ますよ」。今日27日に23歳になる。記録更新はお預けでも「また出るかもしれない感覚があるので、楽しみです」と8月世界選手権(韓国・大邱)へ、大きな自信を手に入れた。【近間康隆】