日本陸連は12日、都内でロンドン五輪マラソン代表メンバー男女6人を発表。女子は重友梨佐(24=天満屋)木崎良子(26=ダイハツ)尾崎好美(30=第一生命)の順当な3人が選出された。木崎はようやく代表に決まり、安心の涙を流し続けた。昨年11月の横浜国際を制しながら、記録が2時間26分台だったため「保留」だった。前日11日の名古屋ウィメンズも泣きながら見ていたというが、苦悩の4カ月から解放された。

 晴れ舞台は涙、涙だった。「合格通知」を待つ受験生のように、木崎はソワソワしていた。洗濯しても落ち着かず散歩に出た直後。「やっぱり気になって」携帯電話のワンセグで代表発表会見を見た。「今までの陸上人生で一番大きな喜び」を知ると、思わず路上で号泣。寮に戻ると祝福されて泣いた。会見では林監督に「おめでとう」と言われて涙し、同僚の中里麗美の話で、また声を震わせた。

 「自分はほかの選手のタイムに比べたら遅くて半分以下の可能性と思っていた。もし選ばれなかったら周りに申し訳なくて、大阪国際からは夜も眠れなかったし、おなかも痛くなって…ひと言で言うとホッとしました」。気温22度と高温の横浜国際で優勝しながら、タイムは2時間26分台にとどまり、即内定とはいかなかった。緊張の4カ月を過ごし、ようやく吉報を手にした。

 ダイハツからの五輪は92年バルセロナ29位の小鴨由水、96年アトランタ17位の浅利純子に続き3人目。父和夫さん(57)は順大で箱根駅伝4年連続出場した。林監督は「勝負強さ、勝負勘に優れている」と、そのDNAを強さに挙げる。「出るからにはメダルを」。ようやく笑顔になった木崎が、力強く前を向いた。【近間康隆】