日本陸連は25日、東京都内で世界陸上(8月10日開幕、モスクワ)のマラソンと競歩の代表を発表した。最大5枠の女子マラソンは、内定していた木崎良子(27=ダイハツ)のほか、福士加代子(31=ワコール)、野口みずき(34=シスメックス)の3人だけが選ばれた。

 04年アテネ五輪金メダルの野口は、03年パリ大会以来5大会10年ぶりの出場が決定。本紙インタビューで、世界陸上のマラソン史上最年長となるメダル獲得に照準を合わせた。

 -世界陸上の女子マラソンで5大会10年ぶりの出場は最長ブランクになる

 野口

 はは、前例のないチャレンジ、いいですね。よっしゃーという感じですね。

 -日本代表で目標は

 野口

 走るからにはやっぱり今まで通りに上を目指す。メダルがとりたい。

 -表彰台に立てば、07年大阪大会銅の土佐礼子を抜いて最年長メダル

 野口

 伝説をつくるぞという気持ち。誰もやったことがないことが好き。

 -03年パリ大会の時に10年後に世界陸上に出ることを想像できたか

 野口

 いや思ってないです。世界陸上は05年も07年もあって、続々と出たいという気持ちはあった。ただマラソンなのでそこまで出られるものではなかった。10年ぶりは全然考えてなかった。(男子の)藤原正和君も私と同じ10年ぶり。(3月の)名古屋ウィメンズマラソンの1週間前にびわ湖毎日マラソンがあり藤原君(日本人トップの4位)の走りは刺激になった。

 -世界陸上に向けて、ストライド走法の完成度は

 野口

 練習で跳ねるようなジョクをしたけど、あまり跳ねると衝撃がきつい、とすごく感じた。ストライドはあまり縮めずに、道路と一体化するような、流れるような走りができたら。

 -08年北京五輪を欠場して、苦境が続いた。当時は「体が壊れるまで走る」という言葉があったが

 野口

 「体が壊れるまで」という思いは限界です。今は現在の自分の体とつきあっていけるトレーニングをする。昔の勢いがあるトレーニングはさすがにちょっと…。でも名古屋の後は、よく練習できている。

 -10年で一番の変化は

 野口

 心に余裕ができている気がする。がむしゃらにトレーニングでやっていたことが経験として生きている。今は若い人の刺激になるような走りがしたい。【取材、構成=益田一弘】

 ◆野口みずき

 1978年(昭53)7月3日、三重県伊勢市出身。宇治山田商高-ワコール-グローバリー-シスメックス。02年名古屋国際女子でマラソン初挑戦で初優勝。03年世界陸上パリ大会で銀、04年アテネ五輪で金。自己記録は2時間19分12秒(日本記録)。151センチ、41キロ

 ◆世界選手権の最長ブランク

 浅利純子は93年シュツットガルト大会と99年セビリア大会、土佐礼子は01年エドモントン大会、07年大阪大会に出場。ともにブランクは3大会、6年ぶりだった。野口は03年パリ大会以来、5大会10年ぶりのカムバックとなった。