<隠岐の島ウルトラマラソン>◇16日◇島根・隠岐の島水若酢神社前発、レインボーアリーナ着の50キロ◇出場452人(うち女子141人)

 陸上世界選手権(8月、モスクワ)男子マラソン代表の川内優輝(26=埼玉県庁)が、熱中症による脱水症状で「病院送り」となった。症状は軽く点滴治療を受けて約2時間で退院したが、暑さ対策とスタミナに不安を残した。

 2時間57分28秒のトップでゴールテープを切った川内が、その場で倒れ込んだ。膝をつき、顔をしかめて「水、水…」とつぶやく。担架で救護テントへ移動したが、今度は両ふくらはぎがけいれん。マッサージ中には「痛い、痛い、イターッ!

 アーッ」と悲鳴が響き渡った。その直後に酸素吸入器をつけ、関係者の車で病院へと運ばれた。

 最高気温25・6度の暑さ、高低差150メートルと起伏が激しいコースも体力を消耗した原因と言える。毎大会に全力投球の公務員ランナーは、これまでもゴール後に倒れ込むことが多かった。ただ、川内は「あれはアスリートとして恥ずかしい。みっともない」と話しており、最近は改善されつつあった。レース後の病院への搬送は、ゴール直前で倒れて棄権した11年の今大会以来2年ぶりだった。

 関係者によると点滴後は「元気になって、親戚の家へ行った」という。招待選手で順位はつかないが、父の故郷で“連覇”したことだけが唯一の収穫。世界選手権本番へ、暑さとスタミナの課題が露呈された。【木村有三】