女子体操界に新たなスターが誕生した。大阪・梅花高1年の杉原愛子(15)が、全日本選手権3位から逆転で初優勝。リオデジャネイロ五輪予選を兼ねる世界選手権(10~11月・英グラスゴー)の初代表を決めた。4月の全日本選手権と今大会の成績によって男子2人、女子5人の世界選手権代表が決定した。

 最終演技をした寺本の得点が出ると、杉原は戸惑いながら笑顔をみせた。「信じられない」と、シニアの大会で初めてトップに立った感想を口にした。「順位や結果を気にせず、自分の演技をすることだけ。世界選手権に出たいので」。3位に入った全日本選手権よりも難度を下げた。確実に得点して5位以内を目指した。しかし、逆に技の正確性が増して得点アップ。昨年の12位から飛躍した。

 武器はひねり。床運動での3回ひねりは着地が決まらなかったが「うまくできると楽しい」。好きにひねれる跳馬と床が好き。男子の「ひねり王子」白井健三の映像をスローで何度も見て、手や顔の位置もチェック。まねすることで「ひねり王女」が誕生した。

 8歳の時に北京五輪を見て「いつかは、あの舞台に立ちたいと思った」。学校から1時間半かけてクラブに通う。「できないと、できるまで帰らない。負けず嫌いですね」と片岡卓也コーチ(42)。帰宅は10時を過ぎるが「学校の友達も応援してくれる。授業に出られない時にノートを貸してくれたり。感謝の気持ちで頑張りたい」と話す。リオ、東京と続く夢。「東京では団体と個人総合で3位以内に入りたい」。夢への第1歩が、今秋の世界選手権になる。【荻島弘一】

 ◆杉原愛子(すぎはら・あいこ)1999年(平11)9月19日、東大阪市生まれ。4つ上の姉好栄さんの影響を受け、4歳で体操を始めた。小4の時に羽衣体操クラブに入り、昨年の全日本ジュニア個人総合で優勝。今年4月にヴォラーレ体操クラブに移籍した。家族は両親と姉。146センチ、36キロ。

 ◆日本代表選考 全日本選手権と今大会の結果で、男女計8人が決定。残る男子3人と女子1人は全日本種目別選手権(6月20、21日・代々木第1体育館)で決まる。男子はすでに決まった3人との組み合わせで最もチーム貢献度が高くなる3人を選考。女子は今大会12位以内の選手を対象として各大会各種目ごとに成績をポイント化し、合計ポイントの上位者を選出する。