次世代のホープ本田真凜(14=関大中)が初出場で表彰台に立った。ショートプログラム(SP)3位から、フリーではジャンプの転倒があったが114・95点とし、合計178・64点で3位を死守した。大ヒットドラマ「家政婦のミタ」に出演した本田望結(11)の姉は、周囲から「芸術家」と称される特異なスケーター。突出した演じる才能で、18年平昌五輪へ楽しみな存在が登場した。

 真っ赤な口紅を塗って、演じたのは「お化け」。大ヒット映画「ビートル・ジュース」の曲で、ジュニア世代では際立つ世界観を本田が作りあげた。表情や手脚の細かい動きは、自分で考えたもの。投げキスをしたり、小悪魔的な要素も盛り込み、「最初から最後まで緊張した」が、会場からは大きな拍手が注がれた。

 首位に手が届く順位で迎えたフリー。「やってやろう」と気負い、最後の3回転フリップでは転倒しながら、スピン、ステップと最高難度のレベル4も獲得。表彰台が決まると「うれしい」と素直に喜んだ。

 浜田コーチは「芸術家。感性はすごい」と話す。曲に対するセンスも優れ、振り付けを任せる時も。演じる才能は子役の妹に通じる。半面、コツコツが苦手で、ジャンプの軌道も毎回違う。諭しても楽しくサボる姿は、どこか憎めない。

 本人はこの数週間は「コツコツ」だったという。強打した際にお尻を守る座布団型のパットを、以前なら美意識から拒否したが、今回は受け入れた。ただ、目標の大会でスピンに成果は出たが、「コツコツ、続け…られたらいいな」と言葉に詰まり「ハーフ、ハーフです!」。浅田真央の言葉を引き、屈託なくほほ笑んだ。次戦はその浅田も出場する年末の全日本選手権。「真央ちゃんと一緒のグループで滑るのは1つの夢」と目を輝かせた。【阿部健吾】

 ◆本田真凜(ほんだ・まりん)2001年(平13)8月21日、京都府生まれ。競技は「気付いたら滑っていた」と2歳から。宮原知子を教える浜田コーチに師事。12年全日本ノービス選手権で当時の歴代最高得点で優勝し注目される。全日本ジュニアでは13年5位、14年4位、15年6位。好きな選手は浅田真央、女優は石原さとみ。きょうだい5人中4人が競技者のスケート一家。156センチ、42キロ。