女子バスケットボールWリーグのシャンソン化粧品は24日、都内で会見し、試合の判定をめぐって、主審を務めた男性審判員の損害賠償などを求めた訴訟を取り下げた経緯を説明した。取り下げの理由の1つに、男性審判員が所属する神奈川県協会から、本人が落ち度があったと認めて反省していると説明されたことを挙げた。だが、男性審判員は、代理人を通じ落ち度を認めたとの認識は事実誤認と抗議の声明を発表。双方の言い分が真っ向から対立した。

 「原告」と「被告」の主張は大きく食い違った。シャンソン化粧品の杉山明宏部長は、提訴を取り下げた1つの理由として男性審判員が落ち度を認めたことを挙げた。審判員が所属する神奈川県協会の柿沼憲一会長が8日に同社を訪問し「本人は主審としての行為を怠ったとして反省している」との説明があったという。

 これを受けてシャンソン側は主張が裏付けられたと判断。女子日本リーグ機構(WJBL)に提案していた第三者委員会が立ち上がったこともあり、提訴の取り下げを決めた。ところが、この日の会見直後、男性審判員が代理人を通じて反論する声明を発表した。

 これについてシャンソンの杉山部長は「柿沼会長が事実を述べたと思っています」と驚いた様子。柿沼会長も「いまさらおかしい。明らかに主審として落ち度はあったし、本人も反省していた」と怒りさえみせた。

 真相究明の舞台は法廷から第三者委員会に移った。だが、第三者委は12日に第1回会合を開いたが、いまだにシャンソン側への聞き取り調査はない。杉山部長は「1回目の内容開示もなく、2回目がいつやるかもわからない。早くヒアリングを」と問題の長期化を懸念。第三者委のメンバー選定は、調査対象に含まれるはずのWリーグ専務理事に一任されていることも「いかがなものか」と言う。公正な人選を求め、第三者委に新たに男子審判経験者を追加することも要望した。

 前代未聞の法廷闘争はなくなったものの、依然解決の糸口は見えていない。

 ◆昨年11月29日のシャンソン化粧品-デンソー戦のVTR 53-53の第4Q終了3秒前にシャンソンの三好がドリブルで切れ込みファウルを受けた。1度は与えられたフリースローが説明のないまま取り消された。延長戦の末に59-61で敗れたシャンソンは今年1月、約3000万円の損害賠償などを求めて主審の男性審判員を静岡地裁に提訴。