世界王者のノバク・ジョコビッチ(29=セルビア)が、史上8人目の生涯4大大会全制覇に王手をかけた。決勝では、同2位で、英国男子として35年ペリー以来、81年ぶりの優勝を狙うアンディ・マリー(29)と対戦する。

 残り1勝。ジョコビッチが、1つだけ足りないタイトルに迫った。全豪6度、ウィンブルドン3度、全米2度の4大大会計11度の優勝も、全仏だけ優勝から見放されてきた。「シーズンが始まる時、いつも最優先事項が全仏の優勝」。その思いで、決勝まで来た。

 12、14、15年に続く4度目の王手。これまでは赤土の壁にはね返されてきた。特に昨年は、17勝3敗と圧倒的な対戦成績を誇ったバブリンカが決勝の相手で、4大大会全制覇は確実だと思われた。しかし、4セットで敗退。さすがの王者も「気持ちが落ち込んだ」。

 今年は、13年を最後に欠場していた5月のマドリード大会にも出場。決勝でマリーを破り、優勝回数を1つ増やした。準備万全で乗り込み、準々決勝で対戦予定だった最大の難関ナダルが3回戦で棄権した。

 実は、ジョコビッチには、もう1つ大きな記録がかかる。昨年ウィンブルドンからの4大大会4連続優勝だ。年間ではないが、4連続を達成したのは過去男子シングルスでは2人しかいない。「とにかく、あと1勝。決勝は体力勝負だと思う」。雨にたたられた今大会。王者の頬は、どちらの涙でぬれるだろうか。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 5日午後2時~、車いすテニス、録画放送。午後6時55分~、午後9時45分~、WOWOWライブ。男子シングルス決勝ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。