女子ショートプログラム(SP)が行われ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を回避した浅田真央(26=中京大)は64・47点で5位と出遅れた。ジャンプミスなどで自己ベストから15点近く下回ったが、課題のステップで手応えをつかむなど納得の演技。首位に5・03点差以内に5人がひしめく混戦で逆転の表彰台を狙う。

 滑り終えると浅田は小さくうなずいた。「やれることはやれた」。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は成功。連続ジャンプは回転不足だったが、最後まで流れるように「黒いダーク」な魔術師のイメージを表現した。昨季から抱える左膝痛を悪化させないよう、3本のジャンプは昨季のGP初戦中国杯と比べると基礎点で9・49点低く設定。「自分の最高レベルではない」と複雑な思いもあるが、完成度を上げるという、今できることに徹した。

 この2週間、カナダ・トロントで振付師とともにステップの修正を行った。決められたステップが出来ているかを表すレベルは、最高の4は取れなかったが「原因が分からない。初戦より、すごくよかった」と満足げだった。日本連盟小林強化部長によれば、ターンが若干足りなかったり、両足で滑るべき箇所を片足で滑っていたりと取りこぼしがあったという。だが、出来栄え点は1・07点プラスと、美しさは認められている。「フリーでは(ジャッジに)評価してもらえたら」と巻き返しを誓った。

 滑る前の6分間練習では、14年の世界選手権でマークした78・66のSP世界最高得点が大画面に表示され、客席から大きな拍手を浴びた。「最高のレベルではない」と何度も繰り返す浅田には元女王のプライドがある。トップとは約5点差と射程圏内。フリーでは初戦になかった3回転-3回転の連続ジャンプを入れ、逆転を狙う。【高場泉穂】