世界5位で第3シードの錦織圭(26=日清食品)が故障からの復帰戦で白星スタートを切った。臀部(でんぶ)を痛めて途中棄権した5日の楽天ジャパンオープン2回戦以来の試合で、同77位のドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア)と対戦。サービスゲームを1度も落とさず、7-5、6-1でストレート勝ちした。2回戦では、同41位のマユ(フランス)-同38位のロレンツィ(イタリア)の勝者と対戦する。

 錦織の動きは全く問題なかった。熱気がこもった会場の気温が30度近くに達し「思っていたより汗をかいて、ちょっと不思議な感じ」と苦笑いする条件の中、1度もサービスゲームを落とさない盤石のプレー。軽い筋膜炎と診断された左臀部(でんぶ)は完治し、「大丈夫。この2週間、いい練習ができて体調は問題ない」と強調した。

 第1セットは強打してくるラヨビッチに対して、やや受け身に回った。「お互いにいいプレーだったが、厳しかった」。しかし、第12ゲームに初めて相手のサービスゲームを破り、7-5で先取。第2セットは「相手のミスにも助けられた」と、一気に5ゲームを連取して圧倒した。

 11月7日発表の世界ランクで上位8人が出場資格を得る、同13日開幕の最終戦ATPツアー・ファイナル(ロンドン)には3年連続での出場が確定している。現在の目標は、今季、まだ1勝だけのツアー優勝と、年内最終の世界ランク(11月28日発表)で自己最高の4位以内となることだ。4位以内で終われば来年1月の4大大会初戦の全豪オープンで、準決勝まで上位3人と対戦しない第4シード入りも可能となる。そのためにも、今大会での上位進出は不可欠だ。優勝すれば自力での4位復帰が確定する。ただ、今大会には、9月の全米準決勝で敗れたバブリンカ(スイス)、準々決勝で対戦するかもしれないリオ五輪銀メダルのデルポトロ(アルゼンチン)ら強豪がそろう。

 加えて、今大会のコートの球足は遅めで球も重い。「タイミングがつかみづらく、球はコントロールしづらい」。好きなラリー戦が多くなるが、得意とする球のはね際をたたく速めの展開がしづらい。「まだまだ試合を重ねていかないと。その中で自信をつけたいと思う」。今季残り3大会。ラストスパートをかける。